建設業は若者離れが当たり前?オワコンと言われる業界の特徴4つ

会社づくり

「建設業の若者離れは当たり前」という声

インターネットで「建設業の若者離れ」について調べると、多く見かけるのが「若者離れは当たり前」という声。

実際にGoogleなどの検索エンジンで「建設業 若者離れ」と調べると候補に「当たり前」と出てくることから、多くの方が「建設業界の若者離れは当たり前」というトピックに興味をもっているという悲しい現実が見えてきます。

若者離れして当たり前と思われている建設業界の特徴について、SNSを調査しまとめました。

「建設業はオワコン」とも言われている

若者の多くが利用するSNSでは「建設業はオワコンだ」という投稿もたくさんあります。オワコンとは「終わったコンテンツ」の略で、主に若年層がインターネットで利用する単語。「建設業はオワコンだ」とは、時代に取り残された、働く魅力を感じない業界であるという意味合いになります。

SNSを調査していると、建設業はオワコンと言われている理由が何パターンかに分かれていることがわかりました。ここから、若者離れが当たり前と言われる理由も見えてきます。

若者が思う建設業界がオワコンな理由4つ

若者が「建設業はオワコンである」、「若者離れてして当たり前である」と思う理由は、大きく分けて4つに分類することができました。

① 業界に対する絶望感が強い

残念ながら、建設業界に悪いイメージを持つ若者は多いです。建設業界に対する絶望感は、建設業もしくは近い業界で実際に働いていた若者と、そうでない若者でイメージが異なります。

◆ 建設業界(近い業界)で働いたことのある若者が抱く絶望感

・ゼネコンだけが儲かる業界構造

・下請け仕事の搾取されている感、やりがいの持てなさ

・仕事のできない先輩の尻ぬぐいをさせられる不公平感

・高齢者が多いことによる年功序列への不満

建設業界(近い業界)で働いたことのある若者は業界構造への不満が絶望感につながっています。ゼネコン、サブコンや地場大手建設会社が最上位にいる構造を内部で目の当たりにすることによって「ゼネコンに入れなかった時点で負け組」という意識が生まれます。また、業界的に高齢者の比率が多いことから仕事を頑張っても評価してもらえない、仕事のできない先輩の尻ぬぐいばかりしているというように、「高齢者」という多数派の属性への不満を募らせやすいのも建設業界の特徴と言えます。こうした業界構造への絶望感は個人または会社単体で改善できる部分が少なく、上記のような理由で若者が建設業界を離れてしまうと会社単体で改善が難しいというのも困った点です。

◆ 建設業界で働いたことのない若者が抱く絶望感

・怒鳴られるのは当たり前

・残業は当たりまえ

・見て覚えろと言い、仕事を教えてくれない

・年齢層が高く、旧時代的な雰囲気

・事故で多くの人が死んでいる

・いわゆるホワイトカラーと比較した際の「負け組」感

建設業界で働いたことのない若者は、業界イメージに対して絶望感を持っています。上記のような労働環境の悪い建設会社がいまだ残っているのは事実ですが、多くの建設会社では時代に沿った職場環境の改善が進んでいます。そうしなければ人材は入ってこず、廃業一直線だからです。しかし一部の会社で起きる、悪い意味でインパクトのあるニュースはこの時代インターネットで瞬時に広まり、業界全体のことのようにとらえられてしまいます。この問題は、会社の労働環境を良くし、外部に根気よく発信していくことで会社単位でのイメージの払しょくが可能です。

② 会社の環境が悪い

・怒鳴られるのは当たり前

・残業は当たりまえ

・見て覚えろと言い、仕事を教えてくれない

・年齢層が高く、旧時代的な雰囲気

・事故で多くの人が死んでいる

・いわゆるホワイトカラーと比較した際の「負け組」感

上記は①の項目で紹介した、「建設業界で働いたことのない若者が抱く絶望感」ですが、実際に建設業で働いた若者のうち、こういった労働環境の悪い会社に当たってしまった人は、働いていた会社の悪い部分を建設業全体のイメージととらえ、建設業界から他業界に離れてしまいます。一度離れた若者をもう一度建設業界に呼び戻すことはほぼ不可能でしょう。

③ 建設業界の人間が自分と合わない

SNSで見かけた不満の中で多く見かけたのが「会社の先輩と話が合わない」というキーワードでした。例えば「興味のないギャンブルや男女関係の話がキツい」「釣りやキャンプに興味がないのに自分以外みんなやっていて気まずい」というような声が上がっています。

建設業界に限った話ではありませんが、先輩の話している趣味の話が理解できないと楽しくなく、結果として職場で孤立してしまい若者離れが起こることがあります。特に高齢者が多い建設業界では、若者と趣味が合わず孤立してしまうことが多く起こっているのではないでしょうか。

こういった時、年長者が若手に寄り添うことはもちろん大切なのですが、最も有効な手段は複数人の同世代を同時期に採用して、若者が孤立するのを避けることです。とはいえただでさえ採用が厳しい時代に複数名を入社させることは至難の業です。面接時に人柄を把握しておき、教育係として性格の合いそうな先輩をつけることでまずは相談できる相手をつくり、そこから会社になじんでもらうことは現実的な対策方法と言えます。

④ ピーク時のキツさが目立つ

建設業界は繁忙期や工期間近になると忙しく、会社によっては暇な時期と忙しい時期の仕事量が大きく変動します。特に現場監督など現場の工程をまとめ上げる人は、ピーク時になると「日付をまたいでも帰れない」というようなキツい体験をしていることもあります。

また、現場での死亡事故が起こるとニュースに取り上げられるため、「建設業の仕事はよく人が死んでいる」というイメージも抱きやすいです。

このようなキツいエピソードは話として非常にインパクトがあり、若者の建設業のイメージにも結び付きやすいため、建設業に入る前にすでに若者が離れてしまうことも多いのです。

しかしこれらのエピソートはすべての建設会社で起こっていることではありません。残業時間や死亡事故の発生率を公表するなど、自社の取り組みを根気強く発信していくことで、会社単位でのイメージの払しょくは可能です。

若者は他業界と比較する

重要なのは、若者に「うちの会社では当たり前」「建設業界では当たり前」は通じないという前提で考えるべきだということです。その理由のひとつは、インターネットの普及です。今の時代、インターネットやSNSで簡単に建設業界以外の世界を知ることができます。SNSの投稿で待遇のいい友人の職場を知ったり、愚痴を書いたら「ブラックだ」とコメントがついたり、他の業界で働く人の価値観に触れる機会が多いため、待遇が悪い部分があればすぐに自分は職場環境に恵まれていない、建設業界からは離れるべきかもしれないと感じてしまうのです。

建設業の優位性をデータで提示する

若者を自社に引き込みたいのであれば、建設業界内だけのものさしで待遇の良し悪しを図るのではなく、ほかの業界と比較しても魅力的に感じる会社作りをする必要があります

例えば建設業は肉体的に厳しい部分がある分、賃金やボーナスは他業界よりも高い傾向にありますし、職人の高齢化率が非常に高く人材不足の背景があるため若いうちから技術を身に着ければ将来の安定性が高い業界とも言えます。こうしたほかの業界と比較した優位性を建設業者自身が知り、若者に発信することが大切です。若者に伝える際は、根拠となるデータや数字を提示することも大切です。説得力を持って建設業の魅力を伝えることができれば、若者を引き込むことは可能です。

「建設業は若者離れが当たり前」と言われないために

業界全体についてしまっている悪いイメージを払しょくすることは簡単ではありません。そのためまずは「自分は旧来の建設業者とは違う」「この会社は旧来の建設会社とは違う」と言えるよう、自分の周りでの改善に取り組み、それを地道に発信することが個人・会社単位で実践できる大切なことです。

旧来のイメージを脱却できない建設業者に若者が集まることはありませんので、変わらなければ会社は存続不可能です。この記事に書いた「若者が建設業から離れる理由」を覚えておき、自社に当てはまっているところがないかチェックし、改善していってください。

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