超異色カフェ「現場喫茶」に潜入!建設業が営む喫茶の意外な役割とは

超異色カフェ「現場喫茶」に潜入!建設業が営む喫茶の意外な役割とは

謎のコンセプトカフェ

近年、多くのコンセプトカフェが街に表れています。コンセプトカフェとは、特定のコンセプトに沿って店舗づくりを行い、他店舗との差別化を行うカフェのこと。有名どころでは、メイド服を着た店員さんが接客をしてくれる「メイドカフェ」などがあります。

東京都墨田区、押上。この地にあるというコンセプトカフェの噂を聞き、編集部が向かってみると、そこには衝撃の光景が。

現場をテーマにしたカフェ「現場喫茶」

「現場喫茶」…。

そう、ここにあるのは現場をテーマにしたカフェ、現場喫茶

工事中なわけではありません。カフェの営業時間です。

この超異色と言える現場喫茶を運営するのは、塗装工事・防水工事などを専門に手掛ける株式会社髙橋工業。建設業がカフェ運営をする理由を、現場喫茶の運営を統括する菊池本部長にお聞きしました。

なぜ、建設業がカフェ運営を?

写真:現場喫茶の運営責任者 菊池本部長

―(編集部)いったいなぜ、この「現場喫茶」を開こうと思ったのでしょうか?

―(菊池さん)もともと、この現場喫茶のスペースは弊社髙橋工業のショールームをつくる予定でした。ただ、ショールームって、きっと一般の方が見ても面白いとは思えないんですよね。「専門的なことはわからない」「契約を迫られそう」という感想がほどんどになる気がして。以前展示会などのイベントに参加したことがあるのですが、その時の体感でショールームは一般の方にはつまらないのではないかという懸念が生まれました。

―そこで、人が集まりやすい喫茶をオープンしたということですか?

―そうですね。ありきたりなショールームではつまらないと思ったので、当初はショールームの一角にお店に入ってもらおうかと思っていました。ところが、工事をしているうちに面白くなってきて、自分たちでやろうという話にシフトしたんです。

社内でアイディアを出し、お金はかけない

ロゴ:「1451」は現場喫茶の番地。発案は菊池さん。

―(編集部)現場喫茶は菊池さんの発案だそうですが、喫茶店をやろう!と話した時、社内で反対意見はなかったですか?

―(菊池さん)もともとかなり自由な社風なこともあり、幸い反対の声はなかったです。

髙橋工業はコスト管理に厳しい会社で、端的に言えば何かにお金を払うのをできる限り少なくしたいんです。そのため喫茶の運営も、経営コンサルタントや不動産会社を入れることなく、自分たちでオーナーさんと交渉して、契約書も作りました。現場喫茶の名前やロゴも、社内から発案し、多数決で決めたんです。

赤字でも構わない。喫茶運営の意味

写真:落ち着いた店内。2つのモニターには髙橋工業の映像が流れる

―(編集部)喫茶には1日だいたいどれくらいの人が訪れますか?

―(菊池さん)平日で10人~20人、休日になると増えて30人以上はいらっしゃいます。老若男女問わずいらっしゃいますが、平日は地元の方が多く、休日は遠方から観光に来た方が多いですね。

―喫茶はとてもゆったりとした雰囲気でリラックスできそうです。

―そうですね。オープンから閉店までコーヒーを飲んでいる方もいます。現場喫茶は喫茶単体で儲けを出すことを目的にはしていないので、お客さんがどれだけ長居をしてくださっても構わないんです。そのため、コーヒーのおかわりは110円と、安い金額に設定しています。喫茶が混みすぎるとスタッフが混乱してしまうため、1杯目は相応の金額をいただいています。

―おかわり110円は破格ですね!

―極端な話、現場喫茶は、別に赤字でもいいんです。ここはあくまでもショールームの替わりに会社をPRする場所として設けているので、あまり利益を上げることは考えていません。

―別事業として収益を上げたいのではなく、あくまでも本業である建設業をサポートする形なのですね。

―その通りです。

飲食初心者が押上の高評価店になったワケ

写真:店内には工具など現場でおなじみのアイテムがおしゃれに展示されている

―(編集部)飲食店経営は慣れないことが多いかと思いますが、ノウハウはどのように習得したのでしょうか。

―(菊池さん)先ほども言ったのですが、髙橋工業はコスト管理に厳しい会社なので、誰かに聞くのではなく自分たちの感覚を信じて試行錯誤し、ノウハウを習得していきました。

飲食店ではお金を払って口コミを書いてもらいお客さんを集める手法もあるのですが、そういった業者は使わず、本物の口コミが集まるように、接客や喫茶の雰囲気づくりには徹底的に気を付けました。結果として、多くの方から良い口コミをいただいています。

集客ツールはツイッター、インスタグラムなどのSNSとMEO*のみで、メディアに広告は出していません。喫茶のメンバーにはSNS講習を受けてもらい、全員にSNSを使えるようになってもらいました。宣伝を担ってもらうぶん、ボーナスで還元しています。

*Googleマップでの検索結果において上位表示させること。

現場色豊か!注目のメニュー

写真:カフェラテ。ついているスプーンの形にも注目。

―(編集部)おすすめのメニューについて教えてください。

―(菊池さん)ホットの飲み物では、カフェラテとアメリカ―ノがオススメです。エスプレッソの豆は試飲を重ねつつこだわったものを選定しました。

冷たい飲み物では、レモンスカッシュと、アイバンもオススメです。

―アイバン…?

―アイバンはオリジナルメニューなのですが、建設業界の用語で別業種の業者さんが一緒に入ることをアイバンと言いますよね。それにちなんで、レモンスカッシュとコーヒーを合体させた飲み物です。

写真:アイバン。さわやかなレモン味の中にほんのりコーヒー味がしておいしい!

―初めて飲みましたが、さわやかで飲みやすくおいしいです!

―食べ物では、現場カレーがオススメです。縁あって、千葉県の佐倉市にあるイル・ピーノという有名店から提供していただいています。

写真:現場カレー。大きな鶏肉とジャガイモ入り。おいしい!

―今後、新メニューを出す計画もあるのですか?

―あります。コロナが影響して遅れているのですが、既存のメニューの改良や新メニューも今後出していきたいと思っています。

この日は現場おにぎりも注文。シンプルで大き目の塩むすび。

おにぎりは食べきれなくなったらテイクアウトも可能。たくさん注文しても大丈夫!

現場喫茶がもたらした3つのメリット

写真:喫茶のメニュー表。料理を待っている間に、会社紹介も読んでもらえる

―(編集部)現場喫茶を運営していて、実感できているメリットはありますか?

―(菊池さん)まず第一に、現場喫茶の広告効果で本業の塗装・防水などの工事の相談に来てくれるお客さんが増えました。なので当初の目的は達成していると言えます。

他には、求人としても機能しています。現場喫茶でカフェの募集をすると応募が来るのですが、話しているうちにカフェでなく髙橋工業自体に興味を持ってくださる方も多いんです。そこで、希望があり、カフェでなく事務員としての採用や、現場監督として採用になった方もいます

―カフェ志望の方が、現場監督を希望されるのですか!?

―はい。その方は20代前半の女性ですが、現在は現場監督を目指して働いています。当社は自由な社風なので、もし今後ほかの職種に興味がわけばそちらに移ってもらっても構いません。カフェと現場を兼任している方もいて、社員が興味があることには教育は惜しみなくするというスタンスです。

―建設業は採用が激化していますから、採用面でも機能するのは素晴らしいですね。ほかにメリットと感じたことはありますか?

―喫茶は社員の福利厚生としても機能していますね。社員は社内価格でメニューを購入できるので、評判です。

―会社でおいしいコーヒーが飲めるなんて、素敵です!

人材不足は「自由な社風」が解決する

写真:喫茶内には展示スペースも。

―(編集部)喫茶のお話とはズレますが、髙橋工業さんのお話を聞いているとかなり自由度の高い会社である印象を受けます。このような社風はどのようにして形成されたのでしょうか。

―(菊池さん)髙橋工業も、以前は昔ながらの職人会社でした。しかしこれからの時代、社員が働きやすい会社でなければ生き残れないという危機感を持ったんです。

―職人さんの働き方はどのようなものでしょうか。

とにかく任されていることをしっかりやってさえくれれば、あとは自由です。現場へは直行・直帰で構いませんし、中抜けや休憩も自由です。休みも比較的自由にとることができます。代表自身が、やると決めたことだけやってくれればいいという考えなので、その影響が強いですね。なので、もともと厳しい環境で働いていた職人さんには魅力的に映る部分もあるのだと思います。

―職人さんにとってはまさに理想的な環境ですね。菊池さんご自身がこの会社にいる理由についてお聞きしてもいいですか?

自由だからですね。私はほかにもたくさん副業をしていますが、縛りがないからここにいられます。試したいことを試させてもらえる風土もありますし、自分の将来にも生かせるから髙橋工業を辞めるつもりはないですね。

―副業も自由なのですね。

―はい。社員の半数くらいは副業をしていますし、社員には将来的に全員独立してもらいたいくらいの気持ちです。

―経営者様のなかには、「副業を解禁すると他社に引き抜かれてしまうのではないか」と心配される方もいます。髙橋工業ではこの問題についてどう考えていますか?

―代表とよく話しているのは、他から欲しいと思ってもらえる社員を育てなければどうせなくなる会社になるよということです。会社ができることって、他から引き抜いてもらえるくらいの人材を育てて、引き抜かれないだけの報酬を払う、それだけだと思います。

―縛るのではなく、自由にすることと、相応の対価を支払うことで離れていかない仕組みを作るのですね。

髙橋工業の描く未来

写真:喫茶内展示スペース

―(編集部)現場喫茶や髙橋工業の今後の展望はどのように描かれていますか?

―現場喫茶は今後も続けていきたいですね。場合によっては2号店、3号店と増やしていくことも考えています。

―建設業・飲食業と運営されて、他に新たな事業に挑戦する計画もあるのでしょうか?

あります。当社は、建設業は五本の指のうちの1つと考えています。建設業ではどうしても、ゼネコンだけが儲かる仕組みができていて、変えるのは難しい。なので建設業一本とプライドを持つのではなく、ほかの事業にも挑戦して、少し試しては結果を見て…と繰り返していきたいと思っています。

現場喫茶より、メッセージ

写真:店内には現場猫グッズも。常連さんからのプレゼントだそう。

―この記事を見ている建設業の方にメッセージをお願いします。

―建設現場が好きな方は一度足を運んでみてください。お待ちしています!

店舗情報

現場喫茶:〒131-0045 東京都墨田区押上1丁目45−1

現場喫茶のホームページはこちら

株式会社髙橋工業様のホームページはこちら

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