工具づくしの30分!TBSラジオ『工具大好き』に突撃してみた

特集

TBSラジオで毎週土曜日に放送されているラジオ番組『工具大好き』をご存じでしょうか。

同番組のラジオパーソナリティーであり、工具店「ファクトリーギア」の運営責任者でもある高野倉匡人さんと、TBSラジオ『工具大好き』営業担当の小林英紀さんに番組立ち上げの経緯番組の魅力をお聞きしてきました。

『工具大好き』ってどんな番組?

『工具大好き』は高野倉さんのYouTubeでも視聴可能

TBSラジオ『工具大好き』は毎週土曜16:30 ~17:00に放送されている番組。

放送内容は、ほぼ工具に関するトーク!タレントや元アイドル、スポーツ選手など、工具を愛するゲストが登場することも。

マニアックなメンバーで工具の魅力をワイワイ語る30分。DIY好きや職人のリスナーも多い、工具玄人向けの番組です。

高野倉さん、小林さんプロフィール

高野倉さん(写真右)と小林さん(写真左)

高野倉匡人さん(以下、高野倉さん):『工具大好き』のパーソナリティー。国内外に13店舗を構える工具店「ファクトリーギア」の代表取締役社長を務める。海外の工具に関する本の執筆や雑誌の連載等も行い「ハンドツールジャーナリスト」としても活動している。

小林英紀さん(以下、小林さん):番組の担当営業。番組立ち上げから今に至るまで『工具大好き』を支えている。

ニッチすぎる番組立ち上げの経緯

―(編集部)工具がテーマのニッチな番組。どのようなきっかけで企画が立ち上がったのですか?

―(高野倉さん)最初のきっかけは、僕がTBSラジオ『金曜ボイスログ』という別番組にゲスト出演したことです。金曜ボイスログは毎週異なるテーマを設定して、テーマに沿ったトークをしていく番組。僕のYouTubeを見たTBSラジオのディレクターさんから声がかかり、工具がテーマの回に呼んでもらったんです。

―(小林さん)金曜ボイスログの工具回は反響がとても大きく、「工具専門のラジオ番組をやったら面白いのではないか」と思いました。そこで番組を企画し、高野倉さんにお声がけした結果『工具大好き』が誕生しました。

ラジオは視えないメディア。勝算はあった?

―工具の魅力をラジオで伝えるとなると、視覚情報がないことがハンデになりそうにも思います。そこに不安はなかったですか?

(小林さん)確かに工具って実物を見ることで得られる情報も多いとは思うのですが、パーソナリティーの高野倉さんはラジオでも本当に言葉巧みに工具を紹介してくれて(笑)。多分、工具好きのリスナーにとっては想像力がかきたてられるのではないでしょうか。『金曜ボイスログ』の時点ですごく反響があったので、リスナーにも伝わる手ごたえはあり、番組として成立すると思いました。

(高野倉さん)実は、僕は今から10年ほど前にもFM北海道で工具の番組をやっていたんです。そのときは4年半番組を担当していたので、工具の話がラジオで成り立つ自信はありましたね。

高野倉さんとラジオの出会いは…?

実家は父母2人で営む町工場に出入りする小さな商店。高野倉さんは中学生位から自転車でドリルや手袋などを配達していた。

―高野倉さんがFM北海道でラジオのパーソナリティーを務めたきっかけは何ですか?

(高野倉さん)学生時代、都内で様々なイベントを手掛けていました。そこからイベントの制作会社に引っ張られ、ラジオ番組の制作やテレビの制作に携わることになり、その縁でFM北海道のラジオパーソナリティーを担当することになりました。そのころにはもう工具店「ファクトリーギア」を運営していたので、工具の番組を作ろうと思い、番組を企画しました。

『工具大好き』の魅力

『工具大好き』の魅力は作り手とリスナー双方のアツさ。番組の魅力を存分に語ってもらいました。

「こんな番組をやりたい」から始まった

―「金曜ボイスログ」での反響や高野倉さんの北海道時代の実績から、『工具大好き』に関してもリスナーはたくさん見込めるだろうということで、小林さん的にはかなり計画的に番組を立ち上げられた…?

(小林さん)いえ、正直に言うと、リスナー数は二の次…というわけではないですが(笑)。とにかく自分がこの番組をやりたいという気持ちが強くて、作っちゃったという側面が大きいです。

というのも、ラジオというメディア自体、今の時代ではニッチな存在なんですね。昔は、テレビ・新聞・雑誌とラジオで「4マス*」と言われていましたが、時代は変化していって、今のラジオは「好きな人が聴くメディア」です。そんなラジオのニッチさと、工具のニッチさを掛け合わせたら、必ず良い番組になるんじゃないかという思いがあって。もちろんリスナーがついてくるだろうという予測もしていましたが、その前にあったのは「自分がやりたい」という気持ちでした。

*テレビ・新聞・雑誌・ラジオといった、マスメディアの中の主要な四つの媒体の略称。

作業中にラジオを聴く職人リスナーから支持される

―『工具大好き』の主なリスナー層を教えてください。

(小林さん)職人さんや、DIYを趣味にしている方が多く聴いてくださっています。招待したゲストのファンの方が聴いてくれることもありますね。

(高野倉さん)ラジオって、自動車整備工場とか、町工場とかで作業中に流れていますよね。職人さんも現場に行く前の段取り作業中に聞いてくれたり。だから多分、我々がターゲットにする工具を使う人たちにとって、ラジオってすごく身近な存在で、一般の人たちよりも近いところにあるんじゃないかなと思うんです。なので、リスナーが仕事をしながら聴けるラジオという形はすごくフィットしていると思います。

日本の職人さんたちって、こだわりを持って仕事をしているので、「絶対に適当な仕事をしない」というプライドや、「自分の技術を最高のものにしたい」という気持ちを持っている人には、この番組の内容が響いているんじゃないかなと思います。

工具愛は建設業を変える?

―「工具愛」をひたすら語る番組が、工具のプロである職人さんからも支持されているというのはすごいです。

(高野倉さん)実を言うと、「職人さんの働く環境を変えたい」というのも番組の目指すテーマの一つなんです。今、建設業は人手不足が深刻で、このままでは日本のインフラは維持できない。このような環境には危機感を抱いています。番組でいい工具を紹介することは一人ひとりのパフォーマンスを高めることに繋がるので、少しでも職人さんが働きやすい環境になったらいいなと思います。また、本職でない人にもラジオを通して、職人という仕事に対しカッコよさを感じてもらえたらいいなとも思っています。

熱すぎる!『工具大好き』リスナー!

―番組はリスナーからの熱いお便りも魅力です。

(小林さん)メールを送ってくださる方は本当に熱いファンですね。若い方からご年配の方まで様々な方がメールを送ってくれます。番組ゲストのファンの方がたまたま聞いてくれて、「DIY始めてみたよ」という報告メールをもらうこともあり、嬉しいですね。

―私もラジオリスナーの一人ですが、ある日ラジオを聴いていた時に「私は新品の工具を買ったときはその工具と一緒に寝ています」というメールが紹介されていて、本当に工具大好きな方が聴いてるんだなと驚いたことがあります。

(高野倉さん)子供のころにおもちゃを買ってもらった時って一緒に寝ますよね。野球のバットやグローブを買ってもらったら次の日が待ちきれずに抱えて眠ったり。そういうのと同じ心境だと思います。本当に工具が大好きなリスナーに支えられていますね。

世界の工具事情・工具の歴史の話も

―お二人が思う番組の魅力を教えてください。

(小林さん)番組のトークを聴いていてすごく面白いなと思ったのは、日本と海外の工具の違いです。工具って、その土地に住む人に合わせて作られていて、手の大きさによってサイズが調整されていたりするんです。その話を聴いたときに工具一つとっても歴史的な背景があるんだなあと思いました。知的好奇心が満たされるのは番組の魅力だと思います。

―高野倉さんは海外工具の事情も詳しいですよね。

(高野倉さん)ファクトリーギアが海外に店舗を展開していたり、輸入工具を扱う関係で海外の展示会にいくことが多いので海外の工具情報には詳しいです。海外の工具に関する本を執筆することもあるのですが、その際にも現地を取材しています。

今まで、工具というカテゴリで歴史やストーリーを語った人ってほとんどいないと思います。そのあたりも楽しんで聴いてもらえたら嬉しいですね。

大人が本気で遊ぶ熱量を感じてほしい

―番組を通してリスナーに伝えたいことはありますか?

(高野倉さん)ここまで真面目にお話ししましたが、この番組は実用的な知識を得るための番組というわけではなくて、ただ工具が大好きな人間が熱く話しているのを適当に聞いてもらうための番組だと思っています(笑) 娯楽番組として聞いてもらい、その中でいい大人が何かに本気になったり、本気で遊ぶってこんなに素敵なことなんだなと思ってもらえたら嬉しいですね。面白い情報があれば後でアーカイブを聴き返してもらったり、気になる工具があればネットで検索してもらえればと思います。

(小林さん)大人同士が熱くなって話しているのを盗み聞きするような楽しさがある番組だと思うので、それを感じてもらえたら嬉しいですね!熱量があるだけでも面白いですが、そこに高野倉さんの経歴ならではの深みがあるので、聞き物としてもすごく面白いと思います。

必聴!『工具大好き』おすすめの回

―これから『工具大好き』を聴いてみたいという方におすすめの回はありますか?

(小林さん)個人的には初回ですね。ゲストの臼井ミトンさんと高野倉さん、工具好き同士のトークがすごく盛り上がりました。この番組はきっと成功するだろうと確信できた回でもあるので、当時の熱量を、初めて聴く方にもぜひ感じ取ってもらえればと思います。

(高野倉さん)バッドボーイズ佐田さんの回はかなり反響がありましたね。でも、全部の回が面白いと思っています!

下記リンクより無料で視聴が可能です!

初回ラジオリンク:Spotify,YouTube バッドボーイズ佐田さん回:Spotify,YouTube

これからラジオを聴く方へのメッセージ

―この記事で番組に興味を持った方に向けてメッセージをお願いします。

(高野倉さん)まずは1度、聴いてもらいたいなと思います。明日からの楽しみの一つになることをお約束します!

(小林さん)同じく、まずは聴いてもらいたいですね。「一緒に工具を使って遊びましょう!」という気持ちでやっている番組なので、肩の力を抜いて聴いてもらえたら嬉しいです。

(高野倉さん)あと絶対言えるのは、仕事場や飲み屋のネタになるってこと(笑)職人さん同士の会話のネタになると思うので、ぜひ聴いてください!

『工具大好き』はここから聴けます!

・リアルタイム視聴:TBSラジオ 毎週土曜16:30~17:00『工具大好き』公式インスタグラムもご覧ください!

・過去の放送視聴:ファクトリーギア 高野倉 匡人 YoutubeSpotify、ほかradikoやPodcastでも聴くことができます!

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