夜勤手当の計算方法は?建設業の例とともにわかりやすく解説!

会社づくり

建設業なら知っておくべき!夜勤手当の計算方法

建設業は、夜勤が発生しやすい業界です。

例えば電車の運行が終わった後に作業をする鉄道工事、商業施設の営業時間が終わった後に行う改修工事など、現場の都合で夜間にしか作業ができないことがありますよね。

夜間帯の賃金は、法令により決まった計算方法があります。夜勤手当の計算方法をきちんと把握して、適切な金額を支給しましょう!

【重要】「夜勤手当」と「深夜割増賃金」の違い

実は、「夜勤手当」というのは法律で支給が定められた手当ではありません

とはいっても、「じゃあ、夜間に働いても手当を支給しなくていいの?」ということではありません。法令で支給することを義務付けられているのは、「深夜割増賃金」という名称の賃金です。以下で解説します。

夜勤手当と、深夜割増賃金はどう違うの?

夜勤手当と深夜割増賃金の違いは、以下の通りです。

 夜勤手当深夜割増賃金
支給義務なしあり
時間の規定自由夜22時~翌朝5時
金額規定なし1時間あたりの給与の1.25倍(25%増)以上の金額を支給

備考:深夜割増賃金のことを夜勤手当と呼んでいる会社もあり。(既定の時間に既定の割増賃金が支給されていれば問題なし)。

◆ 夜勤手当は、雇用主が自由に支給する時間・金額を決めることができ、支給は義務付けられていない

夜勤手当は法律で支給が義務付けられたものではないので、支給ルールは会社の自由です。極端なことを言えば、お昼の12時以降の仕事を夜勤手当の支給対象としても問題ありません。また支給金額についても規定はなく、会社が自由に設定することができます。

◆ 深夜割増賃金は、夜22時~翌朝5時の時間帯で労働した際に支給が義務付けられている

深夜割増賃金は「労働基準法」という法律によって支給することが会社に義務付けられています。金額の計算方法も決まっていて、夜22時~翌朝5時の間の労働は通常の1.25倍(25%増)以上の賃金を支払うことになっています。

ウチの会社、夜勤手当しかないけど?

深夜割増賃金のことを、わかりやすく「夜勤手当」「深夜手当」と呼んでいる会社もあります。呼び方には決まりがないので、夜22時~翌朝5時の間の時間帯のお給料がきちんと割増で支払われていれば、どんな名称で呼んでいても問題ありません。

しかし、例えば「夜間勤務は一律で1,000円の手当を支払うのみ」など、深夜割増賃金の対象時間帯にも会社独自のルールを設定し、規定の支給額を下回る賃金しか支払っていない場合は、労働基準法違反になります

ウチは、20:00から夜勤あつかいにして手当をつけているけど?

問題ありません。例えば夜20時から23時までの労働をお願いする場合、20時~22時の間は法律で定められた深夜割増賃金の対象ではないので、手当をつけてもつけなくても各会社の自由です。しかし、22時~23時の1時間については深夜割増賃金の支給対象時間になるので、規定の計算式で出した金額以上の賃金を支払わなければなりません。

深夜割増賃金(夜勤手当)の計算方法は?

深夜割増賃金は夜22時~翌朝5時の間は通常賃金の1.25倍(25%増)以上を支給が基本の考え方です。様々な例とともに支給金額の算出方法をご紹介していきます。

日給または月給の場合、時間単位の割増賃金はどうやって計算するの?

日給および月給制の場合、時給に換算して1時間当たりの支給金額を算出します。

◆ 例1:日給1万円の人の、深夜割増賃金は?

10,000円(日給)÷8h(1日の労働時間)=1,250円(日給を時給換算した金額)

1,250円(時給換算した金額) ×1.25(深夜割増賃金)=1,562.5円

A:日給1万円の人の深夜割増賃金は1時間あたり1562.5円(通常より312.5円アップ)

◆ 例2:月給22万円の人の、深夜割増賃金は?

220,000円(月給)÷22日(月の労働日数)÷8h(1日の労働時間)=1,250円(時給換算した金額)

1,250円(時給換算した金額) ×1.25(深夜割増賃金)=1,562.5円

A: 月給22万円の人の深夜割増賃金は 1時間あたり1562.5円(通常より312.5円アップ)

 

※ 注1:日給の場合、夜間勤務が前提の契約の際に最初から支給額に深夜割増賃金を入れて計算している場合もあります。契約者と労働者双方で確認するようにしましょう。

※ 注2:月給で計算をする場合、1ヶ月の労働日数を元に計算します。月ごとに労働日数に変動がある場合は、1年間の労働日数から1ヶ月の平均労働日数を算出して計算します。

※ 注3:支給額に端数が出た場合、四捨五入して計算することができます。1ヶ月の割増賃金の総支給額を四捨五入する方法と、1日ごとに割増賃金の金額を四捨五入して計算する方法の両方が認められています(参考サイトは こちら)

※ 注4:所定の労働時間を越えて夜間作業に入る場合、深夜割増賃金に加えて残業手当も加算する必要があります(次項で解説)。

深夜割増賃金(夜勤手当)と 時間外労働手当(残業代)は、両方払うべき?

所定の労働時間を越えて深夜帯の労働を行う場合、深夜割増賃金に加え、時間外労働手当(残業代)も加算して支給する必要があります。

通常の1.25倍(25%増)の深夜割増賃金に加え、同じく通常の1.25倍(25%増)の時間外労働手当が発生し、深夜帯の残業は、通常の1.50倍(50%増)以上の賃金を支給する必要があります。

◆ 例3:月給22万円/標準労働時間9時~18時の社員に、9時~23時までの労働をお願いした場合の、深夜割増賃金と時間外労働手当の支給額は?

この場合、計算パターンは2つ。①時間外労働手当の支給対象時間、②時間外労働手当と深夜割増賃金の両方が支給対象となる時間にわけて計算していきます。

① 時間外労働手当のみが発生する18時~22時の4時間

220,000円(月給)÷22日(月の労働日数)÷8h(1日の労働時間)=1,250円(時給換算した金額)

1250円×1.25(時間外労働手当)×4h(時間外労働時間)=6,250円

時間外労働手当と深夜割増賃金の両方が発生する22時~23時の1時間

1,250円(時給換算した金額)×1.50(深夜割増賃金+時間外労働手当)×1h(割増対象の労働時間)=1,875円

①+②=8,125円

A:時間外手当と深夜割増賃金を合計して、8,125円を支給

深夜割増賃金(夜勤手当)って、払わないとどうなるの?

深夜割増賃金(夜勤手当)を支払わずに労働をさせ未払いが発覚すると、労働基準監督署から「是正勧告」を受けることになります。

改善が見られない場合は、会社責任者が書類送検されたり、最悪の場合には逮捕される可能性もあります。法律を守った経営をするのはもちろんですが、建設業で頑張る職人さんとの信頼関係のためにも、働いてもらった分はきちんと支払いましょう。

深夜割増賃金(夜勤手当)の相場はどれくらい?

出典:東京産業労働局 労働時間管理に関する実態調査(H29年3月)

他社ではどのくらい夜勤手当を支払っているのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。東京都産業労働局が調査した、時間外手当(残業手当)と深夜割増賃金(夜勤手当)の割増率をグラフにまとめました。

グラフを見ると、時間外手当(残業手当)と深夜割増賃金(夜勤手当)のどちらも半数以上が法定通りの割増率で賃金を支給していることが分かります。

そのため相場は、時間外手当(残業手当)は25%、深夜割増賃金も25%と考えてよいでしょう。深夜割増賃金に関しては法定賃金以上に支払っている企業も半数程度あることも覚えておきましょう。

規定額を下回ることはNGですが、規定額以上の支給は、各企業の判断のもと自由に行うことができます。

夜勤手当の正しい知識で、職人さんたちに還元を!

街が寝しずまった時間も、建設業の職人さんたちは現場で汗を流しています。法令で決められた割増賃金はキッチリ支給して、職人さんに還元しましょう!

夜勤手当についてのまとめ

今回は建設業を営む企業様に知って頂きたい、夜勤手当と深夜割増賃金の違いや計算方法について解説しました。

◆ 深夜割増賃金(夜勤手当)についてのポイントまとめ

・22時以降は、深夜割増賃金1.25倍(25%増)の支給が必須

・「夜勤手当」は時間や金額の規定なし会社で自由に設定可能。「深夜割増賃金」は法律の規定があるが、深夜割増賃金をのことを夜勤手当と呼ぶ会社もあり。

22時~翌朝5時に1.25倍以上の割増賃金が支払われていれば法的にはOK!

・残業の時間と深夜割増賃金支給の時間が被っている場合は、25%増+25%増=50%増の賃金の支払いが必要

上記のルールをしっかり覚えておきましょう!

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◆ お給料の決まりについてもっと知りたい方はこちら!

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