【社労士にきく】コロナワクチン、社員に接種は義務づけられる?(労務相談vol.8)

会社づくり

社労士へのお悩み相談

会社を運営していると、様々な悩みに直面することがあります。そこで、中小企業、特に建設業で働く経営者様、労務担当者様向けに、気になるギモンを解決するための社労士さんへの相談コーナーを開設しました。

八回目の今回取り扱うテーマは、新型コロナワクチンの接種方針について

会社としては、「社員全員にワクチンを打ってもらいたい!」など、それぞれ思うところがあるかと思いますが、ワクチン接種について会社で決まりを作ることはできるのでしょうか?

ワクチン接種についてのギモンあれこれを社労士の波多野さんに解説していただきます。

【お悩み】ワクチン接種・会社で方針を定められるか

元請けの会社で新型コロナの感染者が出たそうで、社員全員に新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けたいと考えています。一人でも作業員から感染者が出てしまうと現場に穴が開いてしまうため、会社の方針としてワクチン接種を必須としたいのですが、可能でしょうか。また、ワクチン接種に行ってもらう際、会社は接種にかかった時間を勤務時間として扱うべきでしょうか。勤務時間になる場合、交通費等々かかる経費も会社が負担すべきなのでしょうか。以上教えていただければと思います。(60代・電気工事会社幹部)

ワクチン接種の義務付けはできる?

―(編集部)新型コロナウイルスワクチンの接種を会社が従業員に義務付けることはできるのでしょうか。

―(波多野)厚生労働省によると、新型コロナウイルスワクチンの接種は感染症の緊急のまん延予防の観点から実施するものであり、国民の皆様にも「接種にご協力をいただきたい」ものとして位置づけられています。あくまでも協力を仰いでいるものでありますので、会社が接種を義務付けることまでは難しいと考えます。

―では、新型コロナワクチンの接種を希望する社員がいる場合、接種にかかった時間は労働時間として取り扱うべきでしょうか。

―労働している時間ではないので原則としては労働時間ではありませんが、上記趣旨の通り厚労省が国民全体の接種協力を仰いでいるものでありますので、ワクチンの接種を安心して受けられるよう労働時間として取り扱うなど配慮してあげると摂取もしやすくなるとは思います。

例えば休日ではワクチン接種の予約が取りにくいという社員には、平日にワクチン接種した時間を有給休暇として取り扱うなど、時間単位で有給休暇を取得できる等の配慮があると接種もスムーズに進むかと思われます。

―交通費は会社の負担にするべきかという疑問についてはいかがでしょうか。

上記のとおり接種は会社が強制するものではなく、社員がそれぞれの意思決定の元接種するかしないかを決めるものでありますので原則としては負担は必要ありません。

監修協力

【プロフィール】 社会保険労務士法人エンチカ 波多野代表
株式会社フルキャストホールディングスに入社し、社会保険労務士資格取得後、人事領域の業務に従事。責任者として人事制度構築、労働組合対応、リストラクチャリングなど人事領域の幅広い業務を担当し、2013年に社会保険労務士として独立。4年間の個人事業主を経て、社会保険労務士法人エンチカを創業。

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