【社労士にきく】副業禁止/制限あり解禁は違法?建設業の副業ルール(労務相談vol.7)

【社労士にきく】副業禁止/制限あり解禁は違法?建設業の副業ルール(労務相談vol.7)

社労士へのお悩み相談

会社を運営していると、様々な悩みに直面することがあります。そこで、中小企業、特に建設業で働く経営者様、労務担当者様向けに、気になるギモンを解決するための社労士さんへの相談コーナーを開設しました。

七回目の今回取り扱うテーマは、建設業の副業問題

近年、副業を許可する企業も増える中、社員の副業を認めるかどうかは企業にとって悩ましいポイントでしょう。

副業について、会社が制限できるのかどうかや、副業を解禁するにあたり気を付けるべきことを社労士の波多野さんに解説していただきます。

【お悩み】副業の禁止/許可する場合の制限について

副業についての相談です。近年副業を推進する会社が増えていると報道で知り、わが社も副業を解禁するか検討中です。しかし社員の引き抜きや本業がおろそかになる不安もあり、社内では副業を禁じるべきだという声もあります。

お聞きしたいことは3点あり、①副業を禁止することは違法ではないか、②時間や日数など条件付きで副業を解禁することはできるか、③業種を限定して、建設業以外の副業のみ解禁することは可能か。以上ご教示いただきたくお願いいたします。(40代・電気工事会社総務)

副業禁止は違法ではない

―(編集部)社員に副業を禁じることは違法にはならないのでしょうか?

―(波多野)会社のルールですので可能ではあります。ただ、世の中では副業・兼業を希望する者が年々増加傾向であることから、一律禁止にしておくよりも、制限をかけて解放していくような検討も必要であると思います。

禁止する場合の理由としては、身体を休める機会が失われることが明らかであると想定され、本業がおろそかになるが可能性が高いことなどが考えられます。

例えば、1日8時間✕月曜~金曜の5日間(残業あり)就労することが約束されている労働者がさらに副業をするとなると、平日の副業は時間的に無理が出てきます。自動的に土日に働くことになりますが、そうなると体を休める機会を設けることができないのが確実に想定でき、本業がおろそかになる可能性が高いため、禁止理由には十分なり得ると思います。

副業の時間制限も可能

―(編集部)「時間や日数など条件付きで副業を解禁することはできるか」という問いについてはいかがでしょうか。

―(波多野)もちろん可能です。副業についてのルールは、 厚生労働省のガイドラインに沿っていれば概ね会社が自由に策定することができます。

―企業側の視点に立ってみると、例えば「土日の副業は自由でいいが、平日の副業は社員の安全や健康の観点から禁止したい」「本業に支障が出る可能性があるので週1回のみ許可したい」など本業への影響を考慮してどこかしらで線引きをすることが考えられます。この線引きは自社で設定してよいということでしょうか。

―会社で考慮し、本業へ影響が出ないと判断した線引きを適用していただいて結構です。

業種の限定も理由により検討可能

―(編集部)では、副業の業種を「建設業以外」と限定することは可能でしょうか。

―(波多野)上の項目でもご説明したとおり、副業禁止は自由であり、副業ルールも ガイドラインに沿っていれば概ね会社の自由であることから、業種限定というのも検討の余地があります。特に同業他社であれば、本業の機密情報が流出する可能性や、副業側に人材が流出(引き抜き等)する可能性もあり、不利益を被ることが予想されるので、禁止とする理由としては十分ありえます。

副業・兼業の禁止又は制限

(ア) 副業・兼業に関する裁判例においては、

・ 労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であること

・ 例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるとされた場合としては

① 労務提供上の支障がある場合

② 業務上の秘密が漏洩する場合

③ 競業により自社の利益が害される場合

④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為

がある場合が認められている。

このため、就業規則において、

・ 原則として、労働者は副業・兼業を行うことができること

・ 例外的に、上記①~④のいずれかに該当する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておくこと等が考えられる

厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成 30 年1月策)

副業解禁時に考慮すべき事項

―(編集部)副業を解禁するにあたって、なにか会社で心得ておくことはありますか?

―(波多野)本業と副業の労働時間については通算する規定があるため、割増賃金の計算が複雑になる可能性があります。概ね副業のほうが複雑になります。 詳しくは ガイドライン(PDF資料P13~「時間外労働の割増賃金の取扱い」の項目)をご確認ください。

―また税務処理については、本業は甲欄を適用し、副業は乙欄適用なので、これも副業側の税金の計算に違いが出る可能性はあります。

―健康保険・厚生年金については、副業側で一定の労働時間を働く場合には副業側でも加入手続きが必要になります。これを「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」と言います。これは副業を行う労働者本人が届け出る必要がありますので、きちんと提出させるよう注意したいですね。

※ 参考:日本年金機構 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

―副業を解禁すると、労働時間や税務処理など本業側・副業側それぞれの雇用主に考慮すべき点が増えるのですね。

兼業・副業についてはガイドラインを確認をして、会社で運用できるかどうか再度検討してから導入を進めるべきでしょう。

必要であれば社労士等専門家に相談してみてください。

監修協力

【プロフィール】 社会保険労務士法人エンチカ 波多野代表
株式会社フルキャストホールディングスに入社し、社会保険労務士資格取得後、人事領域の業務に従事。責任者として人事制度構築、労働組合対応、リストラクチャリングなど人事領域の幅広い業務を担当し、2013年に社会保険労務士として独立。4年間の個人事業主を経て、社会保険労務士法人エンチカを創業。

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