【社労士に聞く】社員の自家用車、ガソリン代はどこまで経費?(労務相談vol.1)

【社労士に聞く】社員の自家用車、ガソリン代はどこまで経費?(労務相談vol.1)

社労士へのお悩み相談

会社を運営していると、様々なお悩みに直面することがあります。そこで、中小企業、特に建設業で働く経営者様、労務担当者様向けに、気になるギモンを解決するための社労士さんへの相談コーナーを解説しました!

第一回目は、小さな会社でありがちな、自家用車とガソリン代の問題について、 社会保険労務士法人エンチカの代表を務める、波多野様に解説していただきます。

【お悩み】自家用車での移動、どこまでが経費か

電気工事会社を経営しております。現場移動の際、社用車が足りないため新しく入社する社員には自家用車を使ってもらおうと考えています。ガソリン代について仕事で使用した分とプライベートで使った分の線引きが難しいのですが、どのように考えるべきでしょうか。(50代・電気工事会社代表)

ガソリン代の算出方法

―(波多野)労働者が自家用車を使って通勤する場合、ガソリン代を賃金である通勤交通費として支給している会社が多いと考えます。

その場合、使ったガソリン代に対する実費相当額を支給することが経済的には良いのですが、車ごとに想定されている燃費が異なったり、また、運転の仕方で燃費も異なるため、現実的には使ったガソリン代の実費相当額を支給することは難しいのです。

そういった背景から、ガソリン代の算出方法については各会社ごとに様々な決め方があります。

例としては、

① 1kmあたりの金額を決めて、月間の距離数に応じて支給する方法
②月あたり金額を定めて一律に支給する方法
③ 国税庁のマイカー・自転車通勤者の通勤手当(下図参照) を参考にして、距離に応じた非課税限度額内で支給する方法

などが挙げられるでしょう。

出典:国税庁HP
*国税庁 マイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額の表はこちら

現場が変わる場合

―(編集部)現場が1か所ではなく、その日ごとに現場が異なる場合はどうなりますか?

―(波多野)考え方は前項の通りです。①の、「1kmあたりの金額を決めて、月間の距離数に応じて支給する方法」と③の「国税庁のマイカー・自転車通勤者の通勤手当を参考にして、距離に応じた非課税限度額内で支給する方法」の場合、現場ごとの距離と、現場に行った日数から月間の総移動距離を算出し、計算することになります。

一律で決めてしまう場合の注意点

―(編集部)最初に挙げていただいた3つの方法のうち、②の「月あたり金額を定めて一律に支給する方法」が一番単純で支給する側としてはわかりやすいかと思いますが、気を付けるべき点はありますか?

―(波多野)月あたり金額を定めて一律に支給する場合、割増賃金の基礎にしなくてはなりません

例えば、夜勤があった社員の深夜割増賃金を計算するには、月給(日給)をベースにしますが、算出する際に月給に一律で支払っているガソリン代を足した額で深夜割増賃金を計算することになります。残業代についても同様です。

たとえば給与が月25万円、ガソリン代が月2万円の社員がいたとすると、割増賃金は給与にガソリン代を足した27万円をベースに算出することになります。

◆ 割増賃金の計算方法について詳しく知りたい方はこちら!

ガソリン代を払わないことは違法か

―(編集部)ガソリン代を全く支払わないという会社も少数あると伺いました。通勤交通費を支給しないことは違法に当たりますか?

―(波多野)通勤にかかる費用は本来労働者が負担することになるため、法律上の支給が義務付けられているわけではなく、支給しなくても法律違反にはなりません

しかし、これまで通勤にかかる費用を会社が払っていたのにそれをやめてしまうとなると、それは「不利益変更」として原則認められません

―(編集部)違法ではないのですね。それでも多くの企業が通勤手当を支払っているのは、社員の福利厚生を考えてということでしょうか。

―(波多野)福利厚生の要素はありますが、法律上は「賃金」となります。
原則非課税なので、賃金ではないと思われがちですが、労働の分野(例えば、健康保険・厚生年金、雇用保険、労災保険)などでは賃金となります。

社員の生活を考え、ガソリン代をカバーできる賃金に設定しているということでしょう。

今回のまとめ

今回のお悩みであった「自家用車の場合、ガソリン代はどこまでを経費とするべきか」について、回答をまとめました。

・会社で使用したガソリン代の算出方法は、①1kmあたりの金額を決めて、月間の距離数に応じて支給する方法、 ②月あたり金額を定めて一律に支給する方法、 ③国税庁のマイカー・自転車通勤者の通勤手当を参考にして、距離に応じた非課税限度額内で支給する方法などがある。

・月あたり金額を定めて一律に支給する場合、割増賃金の計算ベースちなる基本給にガソリン代を足して計算することが必要となる

ガソリン代は、支払わなくても違法ではない(今まで支払っていた場合、途中で変更することは不可)が、多くの会社は通勤手当を支払っているので、社員の満足度維持のためには、ある程度の額は支払った方が良い

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監修協力

【プロフィール】 社会保険労務士法人エンチカ 波多野代表
株式会社フルキャストホールディングスに入社し、社会保険労務士資格取得後、人事領域の業務に従事。責任者として人事制度構築、労働組合対応、リストラクチャリングなど人事領域の幅広い業務を担当し、2013年に社会保険労務士として独立。4年間の個人事業主を経て、社会保険労務士法人エンチカを創業。

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