感電事故事例から学ぶ安全対策<統計データあり>

感電事故事例から学ぶ安全対策<統計データあり>

経済産業省では毎年、 電気事故の報告書を集計した 「電気保安統計」というデータを公表しています。2019年3月には、2年前である2017年の統計が公開されました。本記事ではこの最新版データのご紹介と、過去の感電事故事例を交え、安全への注意喚起および感電事故の防止対策の大切さについて考えていきたいと思います。

最新の統計では、感電事故は年間68件

2017年の感電事故は、年間で68件。うち、事業用電気工作物で17件、 自家用電気工作物で51件でした。ちなみに電気火災は年間で7件発生しています。

※ 感電事故の定義について: 経済産業省で「感電死傷」として報告されているものを、聞きなじみのある言葉に置き換え「感電事故」としてご紹介しています。充電している電気工作物や、当該箇所からの漏電又は誘導によって充電された工作物等に体が触れたり、電気工作物に接近して閃絡(せんらく)を起こしたりすることで体内に電流が流れ、またはアークが発生し、直接それが原因で死傷(アークによる火傷等も含む)した事故や、電撃のショックで心臓麻痺を起こしたり、体の自由を失って高所から墜落したりすることなどにより死傷した事故を対象としています。

感電事故の件数は直近10年間横ばい

残念ながら、直近10年の感電事故の件数はほぼ横ばいで変わっていません。 より一層安全面に配慮し、事故を未然に防がなければなりません。

参考資料1:経済産業省電気保安統計

参考資料2:独立行政法人製品評価技術基盤機構 平成29年度保安統計の概要

特に注意!感電事故が起きやすくなる現場と事故事例

夏場は最も感電事故が多くなる

電気工事業界にいらっしゃる方ならご存知かもしれませんが、7月~9月の夏場は、感電事故が最も多くなる季節です。その理由は、気温による肌の露出が高まることと、汗によって体の絶縁抵抗が低くなることです。また、暑さによって作業中の注意力が低下することも原因だと指摘されています。

夏場の感電事故事例

◆ 感電事故事例1:クーラーの配線工事中に感電死

概要:

工場の窓枠の下方拡張を行うため、窓枠下に敷設されていたクーラーの電源用電線管を徹去し、新たに電線管を敷設する工事中に事故が発生。新設電線管が敷設された後、既設電線と新設電線との切替えを行うため、被災者が枠組み足場と加工機械の間に足をかけ、窓と窓との間の壁面に設けられた分岐箱内部の既設電線を活線(200V)のまま電気工事用ペンチで切断しようとした時に感電した。

詳細:

被災時の被災者の服装等は、ゴム底の安全靴、長袖の作業服を着用し、手は素手のままであった。 使用していたペンチは握りの部分がビニールで絶縁被覆された絶縁柄ペンチであったが、被覆が損傷し、1~4mmの穴が4個所認められた。災害発生当日は、気温が27℃でかなり蒸し暑く、朝からの作業で被災者の作業服は発汗によりかなり湿った状態であった。被災者は在職1年で、電気工事士の資格は持っていなかった。

原因:

1.停電をしないで活線のまま作業をしたこと。

2.活線作業に伴う危険性について事前に検討を行わなかったこと。また、作業手順を定めないまま作業に着手したこと。

3.活線作業を行うにもかかわらず、絶縁用保護具を使用せずに素手のまま作業をしたこと。

4.ペンチの絶縁被覆が損傷しており、絶縁性能について点検がなされていなかったこと。

5.夏場の作業で作業服が汗で湿り、接触抵抗が低下していたこと

6.作業者に感電の危険性について十分理解させていなかったこと。

対策:

1.電気工事は可能なかぎり停電して行う。

2.活線作業を行う際は、あらかじめ危険性を検討のうえ作業手順を作成しておく。また万一に備え、単独作業を避け作業者全員に救急処置の訓練をしておく。

3.活線作業において、活線作業用器具を用いる場合であっても電気用ゴム手袋等の絶縁用保護具を併用する。また、接近して感電する恐れのある充電部分には絶縁シートを装着する。

4.活線作業用器具、絶縁用保護具等は定期的に絶縁性能を検査し、必ず使用前点険を行う。

5.発汗、雨などにより身体が濡れると身体や衣服の抵抗が著しく低下するため、夏季においては低圧電気による感電死亡災害が多発する傾向にあるので、普段にも増して絶縁用保護具の着用を徹底させる。また、このような電気の特性および危険性ならびに安全対策について、作業者に十分教育を行う。

参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト 労働災害事例の検索ページから「クーラーの配線工事中に感電する」の事例より抜粋

自然災害の影響を多く受けた年は事故件数が増加

地震、台風、豪雨などの自然災害の影響を受けたと考えられる年は事故件数が増加します。直近10年では、東日本大震災があった平成22年度や新潟・福島豪雨のあった平成23年度などは事故件数が増加しました。

自然災害の復旧中の事故事例

◆ 感電事故事例2:絶縁被覆が損傷した引き込み線をテーピング中に感電死

概要:

木造2階建て家屋の台風被害復旧工事において、2階のテラス屋根上で引込み線の絶縁被覆損傷箇所をビニールテープでテーピングしていたところ、感電した。 ※ この作業員は木造家屋の建築工事会社の社員であり、電気工事士ではありません。

詳細:

引き込み線は、雨樋の下の軒先に取り付けられた碍子まで3芯ケーブルにより電柱から引き込まれ、ガイシのところで2芯ケーブル(単相2線式100V)および3芯ケーブル(単相3線式100Vおよび200V)に分岐して家屋内に配線されていた。この分岐箇所はビニールテープでテーピングされていた。被災者は、前日からの雨樋の取付け作業の続きを開始して雨樋を取り付けようとしたところ、引き込み線の分岐点の分岐後の3芯ケーブルの芯線のテーピング箇所が破損しているのを見つけた。そこで、被災者は新しいビニールテープで破損箇所をテーピングすることにした。しばらくして、同僚が被災者の声が聞こえないので不審に思い、テラス屋根上を見たところ、被災者が倒れているのを発見した。

原因:

1.単相3線式の3本の配線の被膜は、いずれも風化して芯線が露出した状態であったこと。

2 .活線作業用の絶縁用保護具を装着することなく、活線作業を行ったこと。

3.テーピングする箇所が軒下であったため、無理な作業姿勢をとらざるをえなかったこと

4.電気工事の知識経験がないのに、引き込み線を補修する作業を行ったこと。

対策:

1.電路を補修する作業を行うときは、電路を停電にしてから行うこと。

2.止むを得ず活線作業を行う場合は、絶縁用保護具を使用させること

3.引き込み線の補修は、電力会社に通報し、その対応を相談すること。

4.引き込み線の補修は、電気工事を専門とする者など電気工事に関する知識経験を有する者に行わせること。

参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト 労働災害事例の検索ページから「雨樋を取り付ける作業中に、絶縁被覆が損傷した引き込み線をテーピング中感電」の事例より抜粋

自社に近しい企業の事故事例を知ることができます

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」では、感電事故など労働災害の事例を業種やキーワードから検索することができます。どの企業様も安全には充分配慮しているかと思いますが、過去の事例を共有することで、作業を行う方に一層の注意喚起をすることができます。

感電事故への注意喚起と共に、万が一の訓練も

感電事故は起こさないことが第一ですが、万が一事故が発生してしまった際、どのように対応するか訓練をしておくことも作業者の命を守るために大切です。特に現場のことがまだよく分からない新人さんには、現場に出る前に、事故への注意喚起と共に救急訓練を実施しておきたいところです。

過去から学び、今日もご安全に

電気をあつかう仕事は、常に命の危険と隣りあわせです。電気工事会社の一員である以上、「注意をしすぎる」ということはありません。過去の感電事故事例から再発防止策を学び、自社の事故防止対策にご活用ください。

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