建設業の助成金利用実態~今使われている助成金・受給企業インタビューを大公開~

会社づくり

助成金を使った企業の体験談

中小企業、特に建設業の経営者様向けに助成金のことを解説していくシリーズ記事。

前回の記事では、「そもそも助成金とは何か」「助成金のメリット・デメリット」について解説しました。

今回は、実際に助成金を利用した企業にスポットライトを当ててより具体的に助成金の実態を解説。

・助成金を使ってみてよかった体験談

・建設業が実際に申請している助成金は何か

以上2点について解説します。

◆ 前回の記事はこちら

【インタビュー】もらってよかった!助成金

実際に助成金を受給した企業は、助成金によって会社がどう変わったのでしょうか。

電工魂では過去に助成金を受給した会社の代表にインタビューをしてきました。

助成金の利用用途や苦労した点、また助成金を申請するまでの葛藤についてもお話をお聞きすることができました。

◆ インタビュー企業プロフィール

H社(設立10年・従業員数30名未満/東京都)

もらった助成金と金額

―(編集部)まず、受給した助成金の名称について教えてください。

―(H社)2014年に「東京都中小企業ワークライフバランス推進助成金」という助成金を受給しました(※ この助成金の公募は現在終了しています)。

―これはどういった内容の助成金ですか?

―中小企業の職場環境整備にかかる経費を支援する助成金です。社員が仕事と育児や介護などの家庭生活を両立できるよう、社内環境を整備する費用に対して助成金が出ます。

―もらった金額はいくらでしょうか。

75万円です。

助成金の使い道

―(編集部)助成金は、使用用途が限定されず自由です*。もらった助成金はどのようなことに使いましたか?(*助成金は受給した後の使用用途が限定されず申請した職場環境整備を行えば、ほかの資金に充ててもよい)

―(H社)PCの購入や、社員を採用する際の求人広告を出す費用に当てました

まとまった出費になってしまうIT機器の買い替えや、採用費にためらいなく使えたことは、その後の事業成長にも大きく影響を与えていると、今振り返れば思います。

―設備投資だけでなく人材採用にもお金がかかる時代ですからね。

―普段なら、求人広告を出すのにも「こんなにお金かかってもし採用できなければどうしよう?」と悩んでしまいますが、「だめでも元々無かったお金だしな」と思い、チャレンジできたのが大きかったですね。結果として会社も大きくなり、収める税額も増え、まわりまわって国や都にも還元できていると思います。活用しない手はないと思いますよ。

助成金=国に助けてもらうこと?

―(編集部)助成金をつかうのに抵抗感のある人もいると聞きます。

―(H社)その気持ちは、少しわかります。私も当初、国や都にお金をもらうのは「経営状況が悪化してどうにもならななった時の最終手段」というような印象がうっすらとありました

悪いことではないとわかっていましたが、国に頼らず自分の力で会社を作っていくのが正攻法のような気がしていて。一種のプライドですかね。

でも、違うんですよね。本来の助成金の意義は、公的なお金で国が企業の成長を応援しようとしていることなので、活用できる企業は活用して、そして成長して、その結果税金でお返しする。それが本来の助成金のあるべき姿だと今になって思います。

申請までに苦労したこと

―(編集部)H社様では代表ご自身が助成金の申請手続きを行ったと伺いました。申請の際に苦労したことはありますか?

―(H社)必要書類を揃えるのは本当に大変でしたね。準備書類は間違っていなくても、必要項目が抜けていたり、記入様式がわからなかったり…。

助成金申請には代行業者などもありますが、当時はコストを掛けるのが嫌で、自前でなんとかしようとケチりました。しかし、結局そこに費やした時間を時給計算すると外注したほうが安かったのかもしれないと思います。ここが助成金受給の難しいところですね。

手探りで行ったため間違いも多く、手戻りも増え、途中で何度も止めようかと思いました。専門家がお金を取る理由もわかるなと後に実感しましたね。

インタビューまとめ

H社のインタビューから見えてきたことは、

・助成金は使用用途が自由であるため設備投資や人材採用など会社が今必要なことに活用できる

・助成金によって将来的に会社が発展していくのであれば国や自治体に還元できるので、受給をためらう必要はない

・自分で受給のための書類作成を行う際にはそれなりの時間と労力をかける必要がある

ということです。

建設業の利用している助成金6選

では、次は建設業が多く申請している助成金はどんなものか知りましょう。

助成金の申請代行業を務める(株)ライトアップ社のレポートから、建設業に多く利用されている助成金はなにかを調査したところ、6つの助成金が多く利用されていることが分かりました。

人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)

人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)

厚生労働省の助成金。雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能を修得させるための職業訓練等を受講させる事業主等に対して助成する制度。人材開発支援助成金はいくつかのコースに分かれているが、教育訓練休暇付与コースは、「有給教育訓練休暇等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成」「120日以上の長期教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成」が条件。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース・人事評価改善等助成コース)

人材確保等支援助成金

雇用管理制度助成コース:厚生労働省の助成金。事業主が、雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成するもの。

人事評価改善等助成コース:生産性向上に資する人事評価制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップ及び離職率の低下を図る事業主に対して助成するものであり、人材不足を解消することを目的とした助成金。

キャリアアップ助成金(諸手当制度共通化コース・正社員化コース・健康診断制度コース)

キャリアアップ助成金

諸手当制度共通化コース:有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に助成。

正社員化コース:有期雇用労働者等の正規雇用労働者・多様な正社員等への転換等を助成。

健康診断制度コース:有期雇用労働者等に対し、労働安全衛生法上義務づけられている健康診断以外の一定の健康診断制度を新たに規定し、適用した場合に助成。

本助成金は7つのコースがあり、上記コースの他にも有期雇用労働者(契約社員、パートタイム、アルバイト、日雇い等)を雇用している場合に自社の労働環境改善改善に応じて受けられるコースがあります。

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

働き方改革を推進する助成金。「勤務間インターバル導入コース」は、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図る、「勤務間インターバル」の導入に取り組む中小企業事業主を支援する助成金。

本助成金は5つのコースがあり、他に「テレワーク支援コース」や労務管理用ソフトウェアの導入・更新労働時間短縮などによる「年休促進支援コース」等も設けられている。※ 旧名称:時間外労働等改善助成金」

両立支援等助成金(出生時両立支援コース・育児休業等支援コース)

出生時両立支援コース:男性労働者の育児休業について、実績と取得を推進する職場風土づくりを実施した企業を助成する制度。

育児休業等支援コース:社員の育児休業について、育休復旧支援プランなどを策定し育児休業を取りやすい職場風土づくりを実施した企業を助成する制度。

65歳超雇用申請助成金(高年齢者無期雇用転換コース・65歳超継続雇用促進コース)

65歳超雇用申請助成金

65歳超継続雇用促進コース:65歳以上への定年引上げ定年制の廃止、希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入など、高齢者の雇用継続を促進させる取り組みを行った場合に受給できる助成金。

高年齢者無期雇用転換コース:50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた場合に受給できる助成金。

利用可能な助成金を探してみよう

上記で紹介した助成金は一例です。

他にも、現行の制度や、制度を少し変えるだけで受給することのできる助成金があるかもしれません。

ぜひ、助成金は積極的に活用しましょう。

もらわないのは損!助成金の活用は積極的に

助成金は私たちの収めている雇用保険料が財源である以上、雇用保険を収めている会社には当然、助成金の給付を受ける権利があります。

インタビューと、建設業が申請している助成金を見て、自社でも申請してみたい!と思った方はぜひ助成金について情報収集を行ってみて下さい。

参考資料

jマッチラボ調査レポート:「中小企業の助成金申請状況」

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