後継者不足、採用難…「人手不足倒産」増える建設業

後継者不足、採用難…「人手不足倒産」増える建設業

売り上げ不振ではない倒産

人手不足倒産」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

売り上げが上がらず、金銭的に苦しい…という倒産は一般的ですが、水面下で深刻化しているのがこの人手不足倒産。

これは、従業員の定着難や採用難による収益悪化、また後継者不足などの人材面の理由により、やむを得ず倒産を選ぶことを指します。

この記事では、建設業の人手不足倒産問題について、データをもとに考えていきます。

人手不足倒産多い建設業

「人手不足倒産」は年々増えており、2015年より4年連続で増加中です。

出典:東京商工リサーチ

東京商工リサーチの調査によると、2019年に発生した185件の人手不足倒産のうち、建設業は49件

サービス業に続いて2番目に人手不足倒産が多い業界です。

技術者不足・社長の高齢化問題

人手不足倒産は、大きく2つの問題に分けることができます。

・技術者不足で、現場が回らない

・社長が高齢化したものの、後継ぎがいない

建設業においてはこの2つがどちらも非常に深刻な事態です。

続く技術者不足

出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(2020年7月)

厚生労働省が毎月出している一般職業紹介状況では、職種ごとの求人倍率を知ることができます。

最新データである2020年7月のデータによると、電気工事の職業は4.19倍。建設の職業では4.40倍です。

4.19倍というのはつまり、人が欲しい4.19社に対して求職者が1人しかいない状態です。

ちなみに、建設業以外に飲食業や製造業などすべての業種を含めたの日本の平均は0.96倍。

建設業は他業界と比べて非常に厳しい採用難に立たされていることが分かります。

国内社長の高齢化問題

2018年に公開された「全国社長の年齢調査」によると、国内社長の平均年齢は61.73歳。

業種別にみると、建設業の社長の平均年齢は60.92歳と、平均よりやや若いものの還暦を超えており高齢化は深刻です。

出典:東京商工リサーチ

社長の平均年齢は年々上昇しています。

下のグラフを見ると、高齢化が一目瞭然です。

現役社長たちが「もうそろそろ引退したい」と考えたときに浮上するのが後継者問題

ところが、多くの社長がこの後継者問題に悩んでいるのです。

次の項目で解説します。

建設業の7割が後継者不在

2019年に公開された全国・後継者不在企業動向調査によると、調査対象である約27万5000社(全国・全業種)のうち、後継者の不在率は約 65.2%。

件数にしておよそ18万社です。

建設業の後継者不在率は平均を上回り、直近2019年で70.6%。

建設業10社のうち7社に後継者がいないという深刻な事態です。

出典:東京商工リサーチ

廃業か、存続か

このような背景の中、全国で多くの社長が会社の今後について悩んでいます。

自分の代で廃業というのも一つの考えではありますが、会社の歴史や従業員のことを考えると、やはり「会社を残したい」と考える方が多いのではないでしょうか。

息子/娘に任せる時代は終了?

もしも会社の存続を願う場合、「自分の息子が継いでくれたら…」と親族に継がせることをお考えの方も多いかと思います。

しかし、同族が会社を継ぐ割合は年々低下しており、代わりに内部昇格や外部から社長を招き事業を継続していくという会社が如実に増えています。

出典:東京商工リサーチ

したがって、会社の存続を願うのであれば、親族以外に会社を継いでもらうことを考え、そのために内部での人材育成を行っていくことを考えなくてはなりません。

10年以上先を見て計画を

自分が引退した後のことを考えるのには、早いに越したことはありません。

・廃業か、存続か、または合併買収などの手法を取るか考える

・存続したい場合、内部で継いでくれる社員を育てるか、外部から社長を探すために動いておく

以上のようなことを早めに考えておくことが大切です。

後継者は湧いて出てくるものではありません。

まだまだ現役!とお考えの社長も、十年以上先を見据え、自分なき後の会社について考えておきましょう。

参考資料

厚生労働省: 一般職業紹介状況

東京商工リサーチ: 全国・後継者不在企業動向調査(2019年)

東京商工リサーチ: 全国社長の年齢調査

東京商工リサーチ: 「人手不足倒産」の動向調査(2019年1~12月)

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