【社労士に聞く】職人採用と有料紹介サイト利用の注意点(労務相談vol.3)

【社労士に聞く】職人採用と有料紹介サイト利用の注意点(労務相談vol.3)

社労士へのお悩み相談

会社を運営していると、様々な悩みに直面することがあります。そこで、中小企業、特に建設業で働く経営者様、労務担当者様向けに、気になるギモンを解決するための社労士さんへの相談コーナーを開設しました。

今回は第三回目。職人を採用する際、ハローワークや求人サイトなど様々な手段がありますが、近年よく聞く有料型人材紹介サイトを利用する際の注意点についてご存じでしょうか。

今回も、 社会保険労務士法人エンチカの代表を務める、波多野様に解説していただきます。

【お悩み】有料紹介サイトの利用は違法?

職人の採用についての質問です。最近、電話で「有料で職人を紹介できます」との営業がかかってきます。求人を出すよりも確実かと思い利用を検討しているのですが、現場仲間から「職人の紹介業は違法ではないか?」と忠告を受けました。職人の有料紹介サイトは法律違反をしているのでしょうか。また、サイトを利用した場合、こちらにも罰則が設けられることはありますか。(40代・電気工事会社社長)

職業安定法と建設業

―(波多野)まず、この問題に絡んでくる「職業安定法」という法律を確認してみましょう。質問者様がおっしゃっているお悩みは、職業安定法第三十二条の条文に該当します。

(取扱職業の範囲)
第三十二条の十一 有料職業紹介事業者は、港湾運送業務(港湾労働法第二条第二号に規定する港湾運送の業務又は同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として厚生労働省令で定める業務をいう。)に就く職業、建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)に就く職業その他有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならない。
② 第五条の五第一項及び第五条の六第一項の規定は、有料職業紹介事業者に係る前項に規定する職業に係る求人の申込み及び求職の申込みについては、適用しない。

―条文を見ると、建設業において、現場に出て作業を行ういわゆる職人は、有料の職業紹介事業者によるあっせんが禁止されています。

ご質問の「職人の有料紹介事業は違法か」のお答えは、「違法の可能性が高い」ということになります。

ただし、こちらの規定はあくまで職人など建設業として現場作業に従事する方々のみを対象としています。つまり、設計や事務方など、建設業に従事される方でも建設現場で作業をされない事務職などの方については、有料職業紹介を行うことができます

補足:有料職業紹介事業とは

企業と求職者との雇用関係の成立をあっせんし、成功報酬としていくらか手数料をとるビジネスを行っているのが有料職業紹介事業です。

例えば、例えば、専門サイトを持ち、有料職業紹介事業許可を取得したその事業者が人材が欲しい企業と働きたい求職者をマッチングさせ、マッチングが成功した際に事業者に手数料を払うようなサービスが該当します

労働者派遣事業は有料職業紹介事業とは全く異なるサービスです。労働者派遣は、派遣会社が雇用する労働者を派遣先企業の指示のもと業務に従事させるといったものです。多くの派遣会社は有料職業紹介の許可も取得しており、人材派遣と有料職業紹介を組み合わせた『紹介予定派遣』といったサービスを提供することもできます。

◆ 重要:有料職業紹介事業に該当しない(職人を募集できる)もの

ハローワーク(無料の職業紹介)、求人募集広告、労働者派遣事業など

建設業が有料職業紹介禁止である理由

―(編集部)なぜ、建設業の職人は有料職業紹介が禁止されているのでしょうか。

―(波多野)ひとつには建設業という特殊性があげられるのではないでしょうか。過去の雇用慣行や安全面に対する管理・教育であったり、1つの建設現場が数次の請負に構成されていることもあり、雇用関係や請負関係だったりと指揮命令が複雑であることなどが想定されます。

―建設業の職人の紹介事業を行っているウェブサイトを見かけたことがあるように記憶しているのですが、あれは違法ということでしょうか。

例外的に、厚生労働大臣の許可を受けた認定団体のみ建設業務有料職業紹介事業を行うことができるという規定があります。この認定団体というのは、株式会社のような組織ではなく、建設業者が集まった団体ということになります。

◆ 編集部ポイントまとめ

建設業における職人の有料職業紹介事業は基本的に違法ですが、厚生労働省に認められた認定団体のみ合法で運営することができます。

有料職業紹介事業利用の際の注意点

―(編集部)これから職業紹介を利用する建設事業者の皆さんに気を付けるべきことがあればアドバイスをお願いします。

―(波多野)労働者を紹介や派遣してもらう場合には厚生労働省(手続きは都道府県労働局)の許可を受けていることが必要になります。そのため、職業紹介・派遣を検討する際は、利用する会社が厚生労働省から許可を受けているか企業担当者に確認しましょう。

許可を受けていない事業者(個人も含む)から紹介・派遣を受ける場合には、場合によって「労働者供給事業」として罰せられる場合があります。

職業安定法第44条 労働者供給事業の禁止
(労働者供給事業の禁止)
第四十四条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
罰則:1年以下の懲役又は百万円以下の罰金

供給する側はもちろん、知らずに許可されていない団体から職人の供給を受けた建設事業者も罰則が適用になるため、注意は必要となります。

事業者を選定する場合にはしっかりと、厚生労働省の許可を得ているかどうか確認を行いましょう。

監修協力

【プロフィール】 社会保険労務士法人エンチカ 波多野代表
株式会社フルキャストホールディングスに入社し、社会保険労務士資格取得後、人事領域の業務に従事。責任者として人事制度構築、労働組合対応、リストラクチャリングなど人事領域の幅広い業務を担当し、2013年に社会保険労務士として独立。4年間の個人事業主を経て、社会保険労務士法人エンチカを創業。

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