社労士へのお悩み相談
会社を運営していると、様々な悩みに直面することがあります。そこで、中小企業、特に建設業で働く経営者様、労務担当者様向けに、気になるギモンを解決するための社労士さんへの相談コーナーを開設しました。
今回は第四回目。社員の有給休暇について、法的な知識にまだ自信のない方向けに、有給休暇に関する法律あれこれを解説します。
有給休暇に関する法律は2019年に法改正がなされました。
最新の事情についても知っておきましょう。
【お悩み】いままで見て見ぬふりをしていた、社員の有給休暇
電気工事業を経営しております。今さらながら社員の有給休暇について十分な知識がないまま来てしまったことに不安を感じております。私たちの時代は有給休暇など取らずに働くのが当たり前でしたが、最近は有給休暇を取らせないと法律で罰せられるという話を聞きました。有給休暇について、基本的な仕組みをご教示いただければと思います。(年齢非公表・電気工事会社社長)
有給休暇の支給日数
―(波多野)では、まず有給休暇について規定の支給日数があることを解説します。
有給休暇は、雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して10日、以後継続勤務年数が1年増すごとに1日(2年6カ月を超える継続勤務1年については2日)ずつ加算した日数(最高20日)を与えることとなります。
ただし、週所定労働日数が少ないパートやアルバイトの方などは、上記の10日ではなく、所定労働日数に比例して少なくなります。
法改正により5日の有給取得が義務化
―(波多野)合わせて重要なのが、2019年の法改正で有給休暇の取得が義務化されたことです。
有給休暇が10日以上付与されている労働者については、年間5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられました。
罰則
―(編集部)有給を既定の日数消化できなかった場合、経営者に罰則はあるのでしょうか。
―(波多野)罰則はあります。30万以下の罰金となります。
正月やお盆を有給として消化期間にすることは違法か
―(編集部)正月やお盆を強制的に有給として消化させる期間にすることは違法になるのでしょうか。
―(波多野)有給休暇は労働日に取得できるものであり、会社の休日に取得することはできません。
したがって、正月やお盆が会社の休日として設定している場合はその日に有給休暇を取得することはできません。
なお、所定休日を労働日に変更し、当該労働日に有給休暇にするような手法は望ましくないとされています。
有給の買い取り
―(編集部)なかなか消化させられない有給を会社が買い取ることはできるのでしょうか。
―(波多野)有給休暇は「働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的」としているため、原則として買い取ることはできないとされております。
監修協力
【プロフィール】 社会保険労務士法人エンチカ 波多野代表
株式会社フルキャストホールディングスに入社し、社会保険労務士資格取得後、人事領域の業務に従事。責任者として人事制度構築、労働組合対応、リストラクチャリングなど人事領域の幅広い業務を担当し、2013年に社会保険労務士として独立。4年間の個人事業主を経て、社会保険労務士法人エンチカを創業。
参考資料
厚生労働省: 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説◆ 関連記事をチェック!
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