熱中症リスクを判断するWBGT値
直射日光に照らされない日や真夏に比べ気温が下がってきた時期、ついつい熱中症のリスクを軽く見てしまうことがあります。
しかし、人間にダメージを与えるのは直射日光や気温の暑さだけではありません。
熱中症リスクを把握するため役立つ考え方に、WBGT(湿球黒球温度)という指標があります。
この指標は国でも測定が推奨されている、新しい健康管理のための指標です。
この記事では、WBGT値の考え方や熱中症リスクの判断基準について解説していきます。
WBGT値は国が公表している
細かい考え方の前に、まず毎日のWBGT値は 環境省の熱中症予防サイトから確認できることを知っておきましょう。
地域別に細かく数字が出ているので、現場ごとに確認しておくとよいでしょう。
当日の数値だけでなく、今後3日間の予測や前日・1週間前との比較も見ることができます。
WBGT値は何を元に計算しているのか
このWBGT値は何を元に算出しているのでしょうか。
算出には、3つの大きな要素が関係しています。
◆ WGBT値の算出に使う要素は…
・気温
・湿度
・輻射熱(ふくしゃねつ)*
*輻射熱とは:日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱のこと。温度が高い物からはたくさん出る。
正確にはこれら3要素のほかに風(気流)も指標に影響するのですが、主要な要素として上記3つを覚えておけばいいでしょう。
◆ WBGT値は湿度を重要視している

WBGT値の計算は、気温の効果:湿度の効果:輻射熱の効果を1:7:2で計算し算出しています。
計算式は非常に複雑なためここでは割愛しますが、興味のある方は こちらからご確認ください。とにかく知ってほしいことは、湿度が重要な役割を持っているということです。
◆ WBGT値の注意指標
WBGTを基準とした注意指標は下記の通りです。
21未満 | 21~25 | 25~28 | 28~31 | 31以上 |
ほぼ安全。適宜水分補給 | 注意。積極的に水分補給 | 警戒。積極的的に休息。 | 厳重警戒。激しい運動は中止 | 危険。運動は原則禁止 |
気温だけでは見逃してしまう、湿度によるダメージ

WBGT値の計算式には、湿度の効果が非常に高い割合で含まれています。
湿度が重要視される理由は、湿度が高い場所では汗が蒸発しにくいため。身体から空気へ熱を放出する力が減少してしまい、熱中症のリスクが高くなるからです。
こういったリスクは外気温だけでは把握できないので、WBGT値による熱中症対策が推奨されているというわけです。
湿度で差が出る熱中症患者数

上記の図は、環境省が公開しているWGBT値と熱中症による救急搬送数の関係図です。
この例では、気温が全く同じにもかかわらず、湿度が高い日の方が熱中症で搬送される人が2倍近くも多くなっています。
湿度を重要視して計算するWBGT値では、危険度の違いがはっきりと分かれているので、この指標を基に熱中症対策を行えば熱中症リスクを減らすことができます。
現場にWBGT値の導入を!
気温よりも高い精度で熱中症リスクを判断することができ、ホームページ上ですぐに情報を得られるWBGT値。
まだ現場に導入していない事業者様は、ぜひ導入してみてください。
真夏や晴天時でなくても熱中症の危険は潜んでいます。気をつけましょう!
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