2025年時点で最新の調査では、建設業の年間休日数は113日です。また、建設業の4週8閉所率は61%で、5年前と比べて2倍に増えています。
【年間休日数】
調査年 | 2015 | 2017 | 2019 | 2021 | 2023 |
休日数(日) | 116.9 | 109.1 | 110.7 | 118.9 | 113.0 |
【4週8閉所】
4週8閉所の実施率 | 全体 | 建築 | 土木 |
2024年 | 61.1% | 49.3% | 73.0% |
2023年 | 49.4% | 35.6% | 62.6% |
2022年 | 45.2% | 34.3% | 57.2% |
2021年 | 40.8% | 32.6% | 49.4% |
2020年 | 37.9% | 31.9% | 44.1% |
2019年 | 30.0% | 23.9% | 36.7% |
この記事では、
などについて解説していきます。
建設業における休日数の推移と平均

建設業における休日数の推移や他業種との比較をまとめました。
建設業の休日数推移
建設業の休日数、有給取得日数の推移は下表の通りです。
調査年 | 2015 | 2017 | 2019 | 2021 | 2023 |
休日数(日) | 116.9 | 109.1 | 110.7 | 118.9 | 113.0 |
最新の調査である2023年のデータによると、建設業の平均休日数は113日です。
建設業の休日数は、過去7年間では大きな変動がなく、おおよそ年間110日前後で推移しています。
建設業の有給取得日数の推移
建設業の休日数、有給取得日数の推移は下表の通りです。
調査年 | 2015 | 2017 | 2019 | 2021 | 2023 |
休日数(日) | 116.9 | 109.1 | 110.7 | 118.9 | 113.0 |
有給取得日数(日) | 5.9 | 9.5 | 7.8 | 9.4 | 10.4 |
最新の調査である2023年のデータによると、建設業の平均有給取得日数は10.4日です。
過去7年で休日数が横ばいなのに対して、有給の取得日数は増加しています。
2019年の法改正で年5日の有給休暇の取得が義務化されたこともあり、建設業界でも有給休暇が取得しやすい環境になってきているといえます。
建設業界と他業界の休日数比較
建設業界と他業界の休日数を調査し、グラフにまとめました。

建設業の平均休日数は113.0日です。
全業種の平均は115.1日のため、建設業は、ほかの業種と比較すると休日数がやや少ない傾向にあります。
しかし、全業種平均との差はわずか2.1日。「建設業界では週休1日が当たり前」という時代があったことも考えると、建設業界の労働環境は良くなっているといえます。
休日113日の働き方イメージ
「毎週土曜・日曜+祝日の休みがあり、繁忙期等に年間6日ほどの休日出勤がある」という働き方のイメージが、「建設業の平均休日数113日」に最も近いです。
働き方が具体的にイメージしやすいよう、以下に週休制のモデルと休日数をまとめました。
2025年の休日数 | |
日曜休み | 52日 |
土曜、日曜休み | 104日 |
土曜、日曜、祝日休み | 119日 |
土曜、日曜、祝日休み-休日出勤6日/年 | 113日 |
2025年は、土曜・日曜・祝日の全てが休みの場合、年間で119日間の休みがあります。
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4週8閉所(週休2日制)の導入状況
建設業の4週8閉所の導入状況を調査しました。
*4週8閉所とは:4週間のうち、作業所の閉所が8日あること。平均して週2日閉所となるので、週休2日制と近い指標として考えることができます。
4週8閉所の実施率 | 全体 | 建築 | 土木 |
2024年 | 61.1% | 49.3% | 73.0% |
2023年 | 49.4% | 35.6% | 62.6% |
2022年 | 45.2% | 34.3% | 57.2% |
2021年 | 40.8% | 32.6% | 49.4% |
2020年 | 37.9% | 31.9% | 44.1% |
2019年 | 30.0% | 23.9% | 36.7% |
日本建設業連合会の調査によると、建設業の4週8閉所の実施率は61.1%です。
実施率は建築と土木でやや開きがありますが、平均すると6割の作業所で4週8閉所(平均して1週間に2日の閉所)が実施されています。
4週8閉所率は5年で2倍に
2019年時点で30%であった4週8閉所率は、2024年に61%と倍増しています。
日建連では、2026年3月までに全建設現場で週休2日を実現することを目標に掲げています。
実際に、公共工事においては週休2日制を前提とした発注が増加しており、4週8閉所は今後さらなる増加が見込まれます。
週休2日制よくある質問

建設業の週休2日制についてよくある質問をまとめました。
週休2日制が推進された背景は?
建設業の週休2日制が推進されてきた背景には、2024年4月から始まった残業時間の条件規制に関する法律が関係しています。
法律の内容は、以下の通りです。
・残業時間は原則月45時間、年間360時間を上限とする
・特別条項付き36協定を結んでいる場合、残業時間は「複数月平均80時間、月100時間未満、年間720時間以内」といった上限が設けられる
・違反した場合、罰則が科される恐れがある
労働基準法では、1日8時間かつ1週間40時間以内と定められているため、この枠を超えた労働は残業扱いとなります。
残業時間が上限の月45時間を超えないよう、週休2日制を推進する動きが始まりました。
◆残業時間の条件規制についてもっと詳しく知りたい方は、【社労士監修】建設業の残業時間上限規制撤廃2024年から…改正内容をチェック!の記事もぜひご覧ください!
建設業界で週休2日は本当に可能なのか?
建設業界でも、週休2日制(4週8閉所)を達成する企業は増加傾向にあるため、可能であるといえます。
国土交通省のHPでは、週休2日工事の好事例集が数多くまとめられていますので、ぜひご覧ください。
週休2日制の義務化はいつ?
週休2日制は義務化されているわけではありません。
2024年4月から建設業界でも施行された残業時間の上限規制に関連して、週休2日制を推進する動きが始まりました。
週休2日制を実施していない企業に罰則はある?
2025年3月現在では、週休2日未満の働き方をしている企業に対する罰則はありません。
ただし、残業時間の条件規制に関する法律で、残業時間は原則月45時間、年間360時間が上限として定められています。
編集部解説:建設業界の休日数と今後の業界展望
かつて、建設業は「休みが取れない業界」の代表とされてきました。
長時間労働が常態化し、休日も少ないため、若手の定着率が低く、人手不足が深刻な問題でした。
しかし、有給取得率や4週8閉所率の推移を見ると業界が急速に変化していることがわかります。
週休2日制への急速な成長
4週8閉所(週休2日制)の導入状況の項目で紹介している通り、2019年には30%であった4週8閉所の実施率が、2024年には61.1%と5年で2倍に増加しました。
この背景には、2024年4月から施行された時間外労働の上限規制が大きく影響しています。これにより、企業は働き方改革を本格的に進めざるを得なくなりました。
また、業界の人手不足の深刻化も影響しています。若手の採用難や職人の高齢化により、労働環境の改善が急務となりました。その結果、建設業でも休日数の増加や有給取得率の向上といった変化が生まれています。
現行の問題点
現在の建設業界には、週休2日制の普及が進む一方で、いくつかの課題も浮かび上がっています。
その1つが、工期への影響です。休みが増えることで工期の遅れが発生するため、新しい技術の導入や、従業員の確保による生産性の向上が求められています。
また、週休2日制の導入により、日給制で働く技能者の収入が減少するという問題も浮上しています。このような問題を解消するためには、月給制の推進や基本給引き上げを並行して行っていく必要があります。
さらに、ゼネコンなどの大手企業は週休2日制を推進していますが、下請け業者では従来の労働環境を変えることができず、業界全体での足並みが揃っていないことにも注意が必要です。
働き方改革が建設業界の発展を生む
休日数の増加は、単なる「休みの確保」ではなく、建設業界の変革のきっかけとなっています。
休める環境を半強制的にでも確保することで、生産性を向上させるための新しい技術開発が促進されているのです。
例えば、週休2日制(4週8閉所)の定着により、現場では施工管理のデジタル化や建設DXの推進が加速しています。これにより、生産性の向上と品質の確保が両立され、持続可能な建設業界への道が開かれようとしています。
建設業の2段階成長:「休める」から「働きたい」へ
今後、業界全体の労働環境が整備されることによって「建設業は休める業界である」という認識が広まっていくでしょう。
さらに、労働環境整備によって生まれた技術革新を取り入れていくことで、あと一段階、「働きたい業界」へと進化することができます。
最新テクノロジーの導入や生産的な働き方を推進していけば、建設業者は「スマートにインフラを牽引する人材」として、旧来の職人のイメージを脱却できます。
「休める業種」からあと一歩「働きたい業種」へと変化することで、入職率の増加にもつながります。労働環境の整備を足掛かりに、建設業界を次なるステージへと成長させる必要があります。
まとめ
「休みがとれない業種」として名前の挙がることも多かった建設業。
しかし、最新の調査では、年間休日数は113日であり、4週8閉所率も60%まで上昇しています。
建設業は、「他の業界と同じくらい休める」と言えるまであと少しというところまで来ています。
建設業界の現状を知り、自社の労働環境の改善に役立てましょう。
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