4月から賃上げで入札に加点!背景と業界の賃上げ事情を解説!

建設ニュース

公共工事の入札には賃上げが必須に?

最近、ニュースでもよく耳にする「賃上げ」。

建設業では、2022年4月以降、賃上げを実施した企業に入札時の加点が行われることも決定しています。なぜこのようなことが起こっているのか、背景や入札時の変更点を知りましょう。

公共工事の入札と賃上げの関係は?

「公共工事の入札と賃上げにはなんの関係もないのでは?」と疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。

なぜ公共工事の入札時に賃上げした企業に加点を実施するのか、国土交通省の公式回答を見てみましょう。

Q:賃上げ評価を行う経緯を教えてほしい。

A:令和3年11月8日開催の「新しい資本主義実現会議」の緊急提言の中において「公的部門における分配機能の強化」の中で「賃上げのための政府調達手法の検討」として、「政府調達の対象企業の賃上げを促進するため、賃上げを行う企業から優先的に調達を行う措置など政府調達の手法の見直しを検討する。」ことが位置づけられました。
これを受けて、検討が進められ、令和3年12月17日に財務大臣から各省庁の長あてに賃上げ評価に関する仕組みに関する通知が発出されました。
これを受けて、令和3年12月24日に国土交通省通知が発出されたところです。
この通知の中で適用対象、評価項目、評価方法、賃上げ実績の確認方法、賃上げ表明したが達成できなかった者に対するペナルティなどについて記載されています。
この通知において、賃上げ実績の確認においては、所定の書類により賃上げ実績が確認できない場合であっても、税理士又は公認会計士等の第三者により同等の賃上げ実績を確認することができると認められる書類に代えることができるとしたところです。
この賃上げ実績の確認について賃上げを行う企業を評価するとの本制度の趣旨に沿った対応となるよう運用するため、具体的な確認書類の提出方法及び「同等の賃上げ実績」と認めることができるかの考え方について整理がなされ、令和4年2月8日に財務大臣より通知が発出されました。
これを受けて、国土交通省通知も同日付けにて発出されました。

引用:「総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置」に関するQ&A集(リンクは編集部追加)

冒頭に登場する「新しい資本主義実現会議」の緊急提言では、建設業だけでなく、国内全体で賃上げを行っていく必要性が説明されています。

我が国の労働分配率は、2010年代の経済成長に伴い低下傾向にあり、OECDによると、2019年の日本の労働分配率は50.1%であり、米国(52.8%)やドイツ(52.3%)などと比べて低い水準にある。成長と分配の好循環を実現するための鍵は賃上げである。コロナ禍では、デジタルなどの分野の企業は収益を伸ばす一方、飲食・宿泊・文化芸術・エンターテイメントなどの業種は大きな影響を受けており、業種間で差が生じていることを認識しつつ、来春の労使交渉では、新しい資本主義の考え方に基づいて、労働分配率の向上に向けて、事業環境に応じた賃上げが行われるよう、政府、民間企業、労働団体がそれぞれの役割を果たしていくことが必要である。新しい資本主義実現会議では、月内に、具体的な取組について議論することとする。

引用:緊急提言(案) ~未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて~

入札と賃上げの関係の簡単なまとめ

ここまでの話を、簡単にまとめると以下の通りです。

・日本は米国やドイツなどの外国に比べて労働分配率(企業において生産された付加価値全体のうちどれだけが労働者に還元されているかを示す割合)が低い。

・成長と分配の好循環を実現するためには賃上げが必要。賃上げを国や民間企業・団体が積極的に推し進めていく必要がある。

・賃上げ推進の一環として、賃上げを行う企業から優先的に調達を行う方針を策定。その結果、入札に賃上げ企業の加点が実施された。

賃上げ目標は中小企業1.5%、大企業3%

賃上げの目標値は、中小企業で1.5%、大企業で3%です。

2021年春闘の平均賃上げ率は、大手企業1.84%、中小企業は1.73%であったため、企業にとって簡単に達成できるとはいいがたい目標ですが、目標値を上回る賃上げを達成した企業には、税制面で優遇する賃上げ促進税制という制度も登場しています。

「3%賃上げ」に合意?ゼネコンの回答

2022年3月には、国土交通省と建設業団体が、技能労働者の賃金の約3%引き上げを目指すことで合意しました。

大手ゼネコン4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)も、従業員の賃金の3%以上引き上げることを発表しています。

中小企業はどうすればいいの?

これら国内の動きを受け、中小企業はどのようにすればいいかを考えてみましょう。

入札に参加している中小企業

令和4年4月1日以降に契約を締結する、総合評価落札方式によるすべての調達で賃上げによる加点が実施されます。

落札が決定した際、賃上げによる加点を受けている場合は「年度単位による賃上げ表明」「年単位による賃上げ表明」の書類を提出する必要があります。ここで、賃上げの実績が確認されます。賃上げ分の加点を受け落札したにもかかわらず賃上げ基準に達していない場合はペナルティがあります。減点措置通知を受けてから1年間、すべての入札において加点分+1点を加えた減点が行われるという大きなペナルティなので、加点を受ける以上は確実に賃上げを行わなければなりません。

なお、賃上げをしていない場合加点を受けることはできませんが、入札への参加自体は可能です。

※ 参考資料はこちら

入札に参加していない中小企業

入札に参加していないからといって、「賃上げなんて関係ない」と考えるのは誤りです。ニュースなどでも賃上げの重要性が報道される中で、労働者も自分の賃金には敏感になっています。自社の社員に「ほかの会社は給料が上がっているのにウチは変わらない」と思われてしまうと、人材の流出にもつながりかねません。たとえ目標をクリアできないとしても、自社が可能なラインでの賃上げは検討することが必須です。

なお、2021年11月の調査で、「税制優遇幅に関わらず賃上げを行う」と回答した企業の割合は、以下の通りです。

※ 帝国データバンクの調査をもとに作成。

48.6%と、およそ半数の企業が、税制優遇の内容にかかわらず賃上げを実施する意向を示しています。

「現状では賃上げできないが、税制優遇が大きくなれば行う」と答えたのは8.5%、「現状では賃上げできないが、税制優遇が大きくなれば検討する」と答えたのは22.3%で、税制優遇の内容によると回答している企業も含めると、大多数の企業が賃上げに前向きであることが分かります。

賃上げの検討を!

また賃金方針について決まっていない企業は、国内および建設業界の動向を参考に賃上げについて検討してみてください。

賃上げを行うことが決定済みで、かつ目標値をクリアしている企業はぜひ賃上げ促進税制を利用しましょう。

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