建設業の倒産件数が増加…物価高・人手不足が影響

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建設業の倒産が3年ぶり増加

帝国データバンクは今月9日、「建設業」の倒産発生状況についての調査・分析レポートを公開しました。

調査によると、2022年度の建設業の倒産件数は1,291件。低水準で推移していた2020年度、2021年度に比べ増加しており、その背景には物価高や人手不足などの要因が絡んでいます。

建設業の月別倒産件数と倒産理由

画像出典:帝国データバンク

2019年度から2022年度の建設業の月間倒産件数の推移は図の通りです。

最新データである2023年3月は、倒産件数が155件。これは2016年8月の154件以来約6年半ぶりの高水準で、急増傾向が鮮明となっています。

※ データの集計期間:2022年4月1日~23年3月31日
※ 集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
※ 調査機関:帝国データバンク

増える物価高倒産

2022年度のデータで注目すべき点は物価高倒産の増加です。2019年~2021年度の間、物価高倒産の割合は10%を下回っていました。しかし、2022年7月以降では物価高を理由に倒産する企業の割合が10%を超える月が出てきます。

建設業は、コロナ禍において商談や工事の遅れといったマイナスの影響があったものの、政府の融資や補助金等の政策によって倒産件数は低水準に抑えられてきました。2021年度の倒産件数(1,084件)は、過去20年でも最少の数字です。

しかしながら、昨今の鉄骨や木材、住設機器など建設資材の価格上昇が工事原価の上昇を招き、倒産件数が急増する要因となりました。

人手不足倒産も多い建設業

建設業は、物価高による倒産のほか人手不足による倒産も深刻化しており、2022年度の人手不足倒産全体のうち、4件中1件は建設業が占めているという調査結果も出ています。

建設業では、建築士や施工管理者など現場を回すために必要不可欠な資格保持者がいますが、そのような資格保持者が離職することで事業運営が困難になるケースもあります。

物価高・資材の品薄に加え人手不足といった要因により工期がずれ込み、中小建設業の倒産を押し上げる要因となっています。

賃上げによってさらに苦しくなる恐れも

画像出典;帝国データバンク

国内の賃上げを推奨する動きも、企業にとっては負担になります。

建設業では、総合評価落札方式で賃上げを実施する企業に対する加点措置(いわゆる「賃上げ加点」)がはじまりました。また、ただでさえ人手不足の業界のため、人手を確保するためには従業員の給料を見直す必要もあり、賃上げの圧力は相当なものです。

値上げできない中小零細の倒産が続く恐れ

各方面で工事原価の増加を感じる一方で、値上がり分を価格に転嫁できない企業も多くあります。

2022年8月に全建総連が公開したデータでは、97%の小規模工務店が工事原価の上昇を感じている一方、値上がり分を顧客に負担してもらったと回答する企業は47%にとどまっている調査結果もあります。

他社との価格競争や顧客に価格交渉ができないなどの理由で値上げに踏み切れない中小零細規模の建設業を中心に、倒産は増加傾向が続く可能性があります。

参考資料

帝国データバンク:プレスリリース

全建総連:全建総連 住宅の建材・設備の価格高騰・納期遅延の影響に関する工務店アンケート調査(2022年6月23日~2022年7月31日実施)の結果

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