電験二種は合格率2割で高難易度|科目別合格率推移や電験三種との比較も

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電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率は、一次試験26.6%二次試験19.7%です。

一次試験受験者数合格者数合格率
2017年6,5701,73726.4%
2018年6,6311,60024.1%
2019年6,9151,63323.6%
2020年6,2351,69527.2%
2021年5,9791,53925.7%
2022年6,1892,17835.2%
2023年6,3181,54524.5%
合計44,83711,92726.6%
二次試験受験者数合格者数合格率
2017年2,43532913.5%
2018年2,62438114.5%
2019年2,51357422.8%
2020年2,51270127.9%
2021年2,40741317.2%
2022年2,90469824.0%
2023年2,68247417.7%
合計18,0773,57019.7%

この記事では、

直近7年間の電験二種合格率推移

電験二種の科目別合格率 をご紹介します。

また、試験概要や、試験対策方法電験二種の認定制度と認定条件2024年の試験日程についても解説していきます。

◆ 電験三種の合格率や勉強方法、おすすめの参考書が知りたい方は、電験三種(第三種電気主任技術者)の合格率推移|科目別合格率、合格が低い理由も解説の記事もぜひご覧ください。

電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率推移

電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率推移

電験二種(第二種電気主任技術者)試験の直近の合格率推移について知りましょう。

直近7年分の受験者数、合格者数と合格率推移を一次試験・二次試験ごとにまとめました。

*本記事で紹介している合格率は、電気技術者試験センターで公開されている「受験申込者」の数と「受験者」の数のうち、実際に受験をした「受験者*」数を使い、合格者数とあわせて合格率を算出しています。「申し込みはしたけど試験は受けていない」という人を除いた、よりリアルな難易度が把握できます。

*受験者数は、試験4科目中1科目でも出席した方の合計。

【一次試験】電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率推移

受験者数合格者数合格率
2017年6,5701,73726.4%
2018年6,6311,60024.1%
2019年6,9151,63323.6%
2020年6,2351,69527.2%
2021年5,9791,53925.7%
2022年6,1892,17835.2%
2023年6,3181,54524.5%
合計44,83711,92726.6%
※ 電気技術者試験センター 「試験実施状況の推移」を元に自社集計。

電験二種(第二種電気主任技術者)の一次試験の合格率は、平均26.6%です。

一次試験の合格率は、基本的に20%台を推移しています。2022年のみ合格率が35%を超えましたが、最新である2023年は例年通りの20%台に戻っています。

難易度は、直近7年間でほぼ変わっていないと言えます。

【二次試験】電験二種(第二種電気主任技術者)の合格率推移

受験者数合格者数合格率
2017年2,43532913.5%
2018年2,62438114.5%
2019年2,51357422.8%
2020年2,51270127.9%
2021年2,40741317.2%
2022年2,90469824.0%
2023年2,68247417.7%
合計18,0773,57019.7%

電験二種(第二種電気主任技術者)の二次試験の合格率は、平均19.7%です。

二次試験の合格率は、13%台~27%台と、年によってややばらつきがあります。

全体的に合格率は低く、難易度の高い試験であると言えます。

【一次試験】科目別合格率とその推移

受験者数合格者数合格率参考:科目合格者数参考:科目合格率
2017年6,5701,73726.4%3,45052.5%
2018年6,6311,60024.1%3,08946.6%
2019年6,9151,63323.6%3,38849.0%
2020年6,2351,69527.2%3,05048.9%
2021年5,9791,53925.7%2,73645.8%
2022年6,1892,17835.2%3,04849.2%
2023年6,3181,54524.5%3,44254.5%
合計44,83711,92726.6%22,20349.5%

電験二種(第二種電気主任技術者)には、資格を有する権利を得た人の割合を示す「合格率」とは別の指標で「科目別合格率」というものがあります。

電験二種の直近7年間の科目合格率平均は49.5%です。

科目別合格率とは?

科目別合格率とは、受験者数に占める科目合格者の割合のことです。((科目合格者/受験者数)×100[%])

科目合格者とは、電験二種の試験で出題される4科目(「理論」「電力」「機械」「法規」)のうち、1科目でも合格した人のことを指します。

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験概要・合格基準

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験概要

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験概要や合格基準をまとめました。

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験概要

試験制度概要

項目内容(一次試験)内容(二次試験)
開催回数年1回年1回
試験形式マークシート形式(多肢選択方式)記述方式
試験時間9:15~17:30
・理論・電力・機械:90分
・法規:65分
10:00~14:20
・電力・管理:120分
・機械・制御:60分
試験科目理論/電力/機械/法規電力・管理/機械・制御
※ 電気技術者試験センター 第二種電気主任技術者試験受験案内を元に作成。

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験概要は、表の通りです。

試験は、一次試験がマークシート、二次試験が記述方式です。

電験三種では5択のマークシート形式が採用されていますが、電験二種は選択肢が増え、多肢選択方式です。

実際の試験問題は、電気技術者試験センターに掲載されている過去問から確認することができます。

◆ 電験三種の試験方式と比較したい方は電験三種の試験概要をまとめた記事もぜひご覧ください!

試験科目・範囲・合格基準

科目範囲解答数合格基準



理論電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するものA問題:4題
B問題:※3題
60%以上
電力発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び
配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに
電気材料に関するもの
A問題:4題
B問題:3題
60%以上
機械電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、
電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに
電力システムに関する情報伝送及び処理に関するもの
A問題:4題
B問題:※3題
60%以上
法規電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
に関するもの
A問題:4題
B問題:3題
60%以上
※ 情報出典: 電気技術者試験センター 令和5年度第二種電気主任技術者下期試験受験案内
備考
1 解答数欄の ※印 については、選択問題を含んだ解答数です
2 法規科目には「電気設備の技術基準の解釈について」(経済産業省の審査基準)に関するものを含みます。
科目範囲解答数合格基準



電力

管理
発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路
(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理に関するもの
6題中、4題を選択60%以上
機械

制御
電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメ カトロニクス
に関するもの
4題中、2題を選択60%以上
※ 情報出典: 電気技術者試験センター 令和5年度第ニ種電気主任技術者下期試験受験案内

電験二種(第二種電気主任技術者)は、一次試験・二次試験共に60%以上得点できると合格となります

合格基準は、年度によってやや異なる場合があります。

参考に、2023年度電験二種 二次試験の合格基準は56.7%でした

60%を下回る基準になることはありますが、60%以上になった例はありません。

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験対策方法

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験対策方法

電験二種(第二種電気主任技術者)に合格するためのコツについてまとめました。

電験二種(第二種電気主任技術者)の試験対策方法

科目合格と有効期限

「電験二種(第二種電気主任技術者)の資格を取ろうと思っているけど一発で合格できる自信がない…」という方に覚えておいてほしいのが、まずは一次試験の科目合格を目指すという方法です。

科目合格とは?

電験二種の一次試験は 「理論」「電力」「機械」「法規」の4つから成り立ちます。

4つの科目に合格して初めて「合格」となりますが、4科目のうち、1つでも合格した場合、「科目合格者」としてカウントされます。

科目合格の有効期限は3年間!

電験二種の一次試験で科目合格をした場合、次回以降の試験では合格した科目はパスして受験をすることができます

科目合格は合格した年から3年間有効なので、1つ合格したら、期限内に残りの3科目を合格すれば二次試験への挑戦が可能です。

二次試験には科目合格制度なし

二次試験には、科目別合格の制度はありません。

ですが、一次試験に合格した年度の二次試験に不合格となった場合は、翌年度の一次試験が免除されます

二次試験に2回連続で不合格となってしまうと、一次試験からやり直すことになります。

必要な勉強時間

電験二種(第二種電気主任技術者)の合格に必要な勉強時間は、500~3,000時間と言われています。

電験三種保有者の場合

電験三種保有者の場合は、各科目の基礎となる知識がついているため、500時間~の勉強で合格できる方もいます。

電験二種は、三種にはなかった記述方式の試験があるため、そこに多くの勉強時間を割く方が多いです。

電験三種を持っていない場合

電験三種を持っていない方や、持ってはいるものの基礎知識が抜け落ちてしまったという方は、1,500時間~3,000時間の勉強時間が必要です。

一次試験を合格するまでに3年以上かかったと言う声も多くあり、資格が欲しいのであれば長期間の受験勉強を覚悟して臨む必要があります。

学習プラン

いつまでに資格を取りたいか決め、計画を立てよう!

まずは、いつまでに資格を取りたいか目標を立て、逆算して計画を立てていきましょう。

電験二種(第二種電気主任技術者)は科目合格の有効期限が3年なので、3年以内に一次試験突破を目指すのがオーソドックスな目標です。

「理論」の突破を第一に考える人が多い

「理論」の科目は、電験二種の一次試験で最も難しいと言われています。ですが、理論にはほかの科目を理解するうえで土台となる部分が多いため、まずは理論から勉強するという方が多いです。

電験二種は、各科目の知識がそれぞれ他の科目にも必要となる資格です。そのため、必ずしも科目ごとに勉強するのが正解とは限りません。ですが、科目合格制度を活用して試験の突破を目指すのであれば、まずは理論から始めてみるのがおすすめです。

電験三種を持っていない場合は、三種から始めるのがおすすめ

電験二種を取る目的にもよりますが、電験三種を持っていないのであれば、まずは電験三種にチャレンジしてみることをおすすめします。すべてマークシートで解答する電験三種に比べ、記述形式のある二種は、より専門的かつ詳細な理解が求められ、ハードルが高いです。

また、電験三種を取得して実務経験を5年以上積めば、認定制度を活用して電験二種を取得することも可能です(詳細は、電験二種を認定でとるには?認定条件を紹介をご覧ください)。

電験三種・二種・一種の資格でできることの違いは、電験二種の資格でできることは?をご覧ください。

電験二種(第二種電気主任技術者)を認定でとるには?認定条件を紹介

電験二種(第二種電気主任技術者)の認定制度・認定要件

電験二種(第二種電気主任技術者)は、試験に合格する他にも認定制度を活用して資格を取得する方法があります。

認定で資格を取得するための条件について解説していきます。

認定制度とは

電験二種(第二種電気主任技術者)の資格を取得する方法は、3種類あります。

① 電気主任技術者試験:電験二種の試験を受け、合格する

② 試験+実務:電験三種を取得+5年以上の実務経験+面接通過

認定校制度:経済産業大臣が認定する教育機関を卒業後、必要な年数以上実務に携わる+面接通過(後述)

認定校の一覧はこちらから検索できます。

認定校は、商業高校や工業高校、工科大学などが中心です。

自身の出身校が認定校だった場合、規定の単位を取得していれば認定校制度を活用できます。

必要単位の探し方

例えば、認定校一覧の「北海道大学」の必要単位を知りたい場合、「北海道大学 電験二種」で検索すると電気主任技術者の資格を得るために取得することが必要な科目と単位の情報が確認できます。

自身の出身校が認定校に該当する場合は、必要単位を取得しているか確認しましょう。

電験二種(第二種電気主任技術者)は認定制度で取得する人が半数以上

電験二種 認定制度取得者の割合

平成30年の経産省調査によると、電験二種(第二種電気主任技術者)取得者の内訳は「電験二種試験合格」が170名(43%)、「電験三種試験合格+実務経験」が163名(41%)、「認定校+実務経験」が66名(16%)です。

「電験三種試験合格+実務経験」による認定制度を利用した資格取得者と、電験二種の試験を受けて資格を取得する方は同程度います。

認定校制度で電験二種を取得する人はそれほど多くありませんが、2つの認定制度による資格取得者の合計は、電験二種の試験を受けて資格を取得する方よりも多くなります。

認定制度は難しい面接を通過する必要がある

認定制度で電験二種(第二種電気主任技術者)を取得する場合、面接を通過する必要があります。

この面接は、提出する実務経歴書を元に話が進んでいきます。

その中で、経験や電気の知識を問われ、回答していく必要があります。

要は、電気主任技術者としてふさわしい経験と、知識を持ち合わせていることを口頭で証明する必要があるのです。

認定面接は「厳しい」「難しい」といった声も多く、指定の学校を卒業して実務経験を積んだ上でも、認定に至らないこともあります。認定で電験二種を取得するにも、試験に合格するのと同程度の知識が必要です。

2024年の電験二種(第二種電気主任技術者)試験日程

電験二種
受験申込受付期間2024年5月20日(月)~
6月6日(木)
一次試験(CBT方式)
一次試験(筆記試験)2024年8月18日(日)
二次試験2024年11月10日(日)
合格発表一次試験:2024年9月2日 (月) ~11月10日 (日)
二次試験:2025年1月24日 (金)~ 2月24日 (月)
受験手数料(インターネット申込)13,800円
受験手数料(郵送申込)14,200円

2024年度(令和6年度)の電験二種(第二種電気主任技術者)試験日は、一次試験が2024年8月18日(日)、二次試験が2024年11月10日(日)です。

◆ 日程や料金、申し込み方法、当日の試験スケジュールは、2024年版、電験三種・二種・一種の試験日程、料金、申し込み方法|当日の時間割や注意点も解説の記事で詳しく解説しています!

電験二種(第二種電気主任技術者)のよくある質問(Q&A)

電験二種(第二種電気主任技術者)のよくある質問

電験二種(第二種電気主任技術者)について、よくある質問・疑問をまとめました。

電験二種の資格でできることは?

電験二種(第二種電気主任技術者)の資格を取ると、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安の監督を行うことができます

事業用電気工作物
第一種電気主任技術者
電圧17万ボルト以上第二種電気主任技術者
電圧17万ボルト未満第三種電気主任技術者
電圧5万ボルト未満
情報出典:電気主任技術者試験センター 電気工作物の範囲と資格

資格ごとに扱える電圧の範囲は表の通りです。

電験二種取得のメリットは?

電気主任技術者としてのスキルアップが可能

電気主任技術者としてのスキルアップが期待できることはメリットの1つと言えます。

電験三種と比較した際に、電験二種(第二種電気主任技術者)保有者は、より広範囲の事業用電気工作物を扱えるためです。

収入アップが見込める

電験二種保有者は、高度なニーズに答えることができる人材です。資格取得により高収入の企業へ転職できると、収入アップが期待できることがメリットです。

また、会社によっては資格手当を支給しているところもあるので、転職しなくても資格取得とともに収入がアップすることもあります。

電験二種の年収は?

JHK(日本電気設備保安協会)によると、電験二種(第二種電気主任技術者)の年収相場は、約400〜700万円です

電験三種の相場は400万円〜450万円のため、電験三種よりも高い年収が期待できます。

電験三種と電験二種はどっちが難しい?

電験二種(第二種電気主任技術者)のほうが電験三種より難しい資格と言えます。

項目電験二種(一次試験)電験二種(二次試験)電験三種
開催回数年1回年1回年2回
試験形式マークシート形式(多肢選択方式)記述方式マークシート形式(5択)
試験科目理論/電力/機械/法規電力・管理/機械・制御理論/電力/機械/法規
※ 電気技術者試験センター 第二種電気主任技術者試験受験案内を元に作成。

電験二種では、電験三種の知識を前提としたより高度な問題が出題されます。

また、電験二種は、電験三種にはなかった記述式の二次試験があります。

◆ 電験三種の試験概要を知りたい方は、電験三種(第三種電気主任技術者)の合格率推移|科目別合格率、合格が低い理由も解説の記事もご覧ください!

電験二種が難しすぎると言われる理由は?

電験二種(第二種電気主任技術者)が難しすぎると言われる理由は、問題の高度さ必要な勉強量にあります。

必要な勉強時間の項目でも解説していますが、電験二種の合格に必要な勉強時間は、500~3,000時間と言われています。

電験三種を飛ばしていきなり電験二種にチャレンジするのはあり?

目的にもよりますが、基本的には電験三種を飛ばさず、二種より先に三種を取得することをおすすめします

理由は、電験二種(第二種電気主任技術者)には電験三種の知識を前提とした問題が多くあるからです。

また、電験三種を取得後、実務経験を5年積むことで電験二種の認定制度を活用することもできます。

電験二種は日本に何人いますか?

電験二種(第二種電気主任技術者)の保有者は、2020年時点でおよそ34,000人です。

2030年には32,300人、2045年には30,200人へと減少することが予測されています。

※ 情報出典:経済産業省 電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(p1)

電験二種の今後の需要は?

電験二種(第二種電気主任技術者)は安定して需要がある資格ですが、今後急激に需要が高まる見込みはありません

経産省調査の分析の結果、電験二種の有資格者は需要の約4倍存在するため、現在~2045年までは人材不足が生じない見込みであるとされています。

ただし、再エネ設備の増加によって、地域によっては人材が不足し、需要が高まる可能性があります。

※ 情報出典:経済産業省 電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(p1)

電験二種は転職で有利?

電験二種(第二種電気主任技術者)は、大規模な事業用電気工作物にかかわる企業・施設への転職で有利になる資格です。

電験二種の資格でできることは?の項目で解説していますが、電験三種では扱えない、電圧5万ボルト以上17万ボルト未満の事業用電気工作物を扱う仕事では電験二種の資格が必要となるため、転職に有利と言えます。

まとめ

電験二種(第二種電気技術者)は一次試験、二次試験共に合格率が20%台であり、高難易度の試験です。

取得方法は、試験に合格するほか、認定制度を活用する方法もあります。

いずれにせよ、高度な電気の資格を持った方のみが取得できる資格です。

この記事が電験二種の資格に興味のある方のお役に立てば幸いです。

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