電柱のある風景
電気工事士の方が日々触れる、電気設備。少し引いて見てみると、周辺の風景と調和し、とても美しい景色となっていることがあります。
この記事では、そんな「風景」としての電気設備の美しさをお伝えしていきます。今回のテーマは「電柱・電線」。日常に調和した電柱・電線の美しさをぜひご覧ください。
電柱がつらなる日本の景色
どこまでも道が続いていくように、電柱と、そこにかかる電線もどこまでも続いていく…。
わたしたちの記憶には、そんな風景が刻まれています。
電柱は日本のインフラとして、全国どこででも見かける設備です。
電力供給の重要な役割を担う電柱ですが、時に景色をさえぎり、「景観に悪い」と言われることもあります。
しかしながら、電柱と風景の組み合わせにこそ魅力を感じ、電柱に焦点を当てた写真を撮影する人も多くいます。
#電線と空 #電柱のある風景 が若者から支持
写真をインターネット上に投稿するSNS、インスタグラムでは、電柱・電線をテーマに撮影した写真が多く投稿されています。
写真には「#電線と空」「#電柱のある風景」など電柱関連の投稿を同士で共有するための検索用タグがつけられ、多くの愛好家たちによってその美しさが共有されています。
田園風景と人工物が調和する姿はまさに日本の風景と言えるでしょう。
こちらはトップでもご紹介した、千葉県木更津市にある江川海岸の海中電柱。
海に立つ電柱は沖合にある小屋への送電用に建てられたもので、海面に電柱・電線が反射する風景が美しく写真撮影スポットとして親しまれています。
※ 江川海岸の海中電柱は2019年11月に惜しくも撤去されてしまいましたが、千葉県内では他に牛込海岸などで海中電柱を見ることができます。
海外で進む無電柱化…日本はどうなる?
電柱のある風景は一見、当たり前のように思えますが、実は海外では事情が異なります。
国外の主要都市では「無電柱化」の動きが進み、ロンドンやパリなどの都市は電柱が撤去され、100%無電柱化されています。
進む無電柱化…海外と日本の比較
無電柱化された都市では、配電線が地中に埋まります。
無電柱化のメリットとしては景観の向上や災害による電柱・電線の破損が起こらないことなどが挙げられています。
日本でも、昭和61年に国交省により策定された「電線類地中化計画」に従って地方自治体が無電柱化を推進する動きがありますが、都心部ではガス管、水道管やケーブルなどの埋蔵物が多いことから工事に手間がかかり、地中化が遅れています。
地中化によって、利便性が向上されるのは喜ばしいことではありますが、見慣れた風景が消えてしまうかもしれないと思うと、少し寂しくなってきます。
これまでインフラを支え続けてきた電柱に敬意を払い、一度電柱と電線が並ぶ風景を見つめなおしてみるのはいかがでしょうか。
世界電柱・電線歩き
こちらは、タイ、プーケットの海沿いにある街です。
写真右側と左側の2か所に、電線が密になっている部分があるのがわかるでしょうか。
これほどの電線の密集は、日本ではなかなか見られない光景です。
さらに、こんな光景も。
ツタが電線に絡んでしまっています。
電線が低い位置にかかっているのも特色と言えるでしょう。
無電柱化されたロンドン
ロンドンの風景は、タイとは対照的に電柱がひとつもありません。
ロンドンは2004年の時点で100%無電柱化が進んでおり、街に電柱が存在しないのです。
電柱が消えつつあるアメリカ
アメリカでは、特に都市部で地中化の動きはすすみ、ニューヨーク市で83%、ワシントンDCで65%まで無電柱化が進行しています。
この風景からも近いうちに、電柱・電線がなくなることでしょう。
そう思うと、立ち止まって電線を眺めてみたくなります。
激レア!木製電柱を探してみよう
電柱と言えばコンクリート製のグレーの電柱を想像する人がほとんどではないでしょうか。
しかし、もともと電柱といえば木でできたものでした。
木製電柱は、現在は製造が廃止され時代とともに姿を消していっていますが、令和のこの時代にも、まれに生き残りの木製電柱を見つけることができます。
こちらの木製電柱は、人や商業施設で賑わう神奈川県川崎市の駅付近にひっそりと現存していました。
近づいてみてみると、「昭三九・六」のプレートが。
昭和・平成・そして令和と長いあいだ、街に明かりを灯しつづけています。
心にも明かりを灯す電柱のある風景
普段歩いていても、電柱を気に留めることは少ないでしょう。
しかし、ふと空を見上げ、電柱のある風景の美しさに気づくことができると、心にもぽっと明かりが灯ります。
太陽の降り注ぐ朝や夕暮れの帰り道、シャッターチャンスが待っているかもしれません。
ぜひこの機会に、電柱に目を向けてみてください。
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