建設業界向けに資格ごとの手当の相場をまとめました。
この記事では、
などについて解説していきます。
資格手当の基礎知識
まずは、資格手当の基本知識を知りましょう。
法的な扱いや、よくある支給方法についてまとめました。
資格手当とは
資格手当とは、業務に活かせる資格を保有する従業員に対して、企業が任意で現金手当を支給する仕組みのことです。
資格手当は福利厚生の一環であり、支給の有無や金額に法的な定めはありません。
また、手当の支給対象となる資格に関しても法的な定めはなく、企業が自由に設定することができます。
資格手当のよくある支給パターン
資格手当のよくある支給方法は、毎月の給与に手当分を上乗せして振り込む方式です。
上記の場合、資格ごとに手当の月額が設定されており、毎月決められた額が手当として給与に加算されます。
多くの企業が毎月支給の方式を採用していますが、支給方法に法的な規定はないため、毎年1回の支給など別の支給方法を採用することもあり得ます。
資格手当・報奨金(お祝い金)・資格取得支援の違い
資格手当と似た福利厚生に、報奨金制度と資格取得支援制度があります。以下で違いを解説します。
資格手当 | 企業が定めた資格の取得後、継続的に手当が支給される ※ 入社前から保有していた資格も手当の支給対象となることが多い |
報奨金(お祝い金) | 企業が定めた資格を取得した際、1度報奨金が支給される |
資格取得支援 | 企業が定めた資格取得の際にかかる受験費用や申請費用などを企業が負担する |
資格手当は、資格取得後*、継続的に手当が支給される制度です。
一方、報奨金(お祝い金)は、資格に合格した際のお祝い金として多くの場合1回限定で支給されます。
資格取得支援制度は、資格取得の際にかかる受験費用や申請費用などを企業が負担するもので、社員の負担を軽減するための制度です。
これら3つの制度を全て導入している企業もあれば、限定的に採用している企業もあります。
※ 一般的に、入社前から保有していた資格も手当の支給対象となることが多いです(詳細は各企業の判断による)
建設業界の代表的な資格と資格手当の相場
建設業界で資格手当の対象になりやすい資格をピックアップし、相場をまとめました。
第二種電気工事士の資格手当相場
相場:2,000円~10,000円/月
電気工事士のキホンともいえる第二種電気工事士の資格。
仕事内容や会社方針によって資格の扱いが大きく変わるため、相場にはばらつきがあります。
第二種電気工事士を持っていなければできる仕事がほとんどないような電気工事会社であれば、手当は支給しないという企業もあります。
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第一種電気工事士の資格手当相場
相場:3,000円~20,000円/月
第一種電気工事士は、電気工事の実務経験3年以上が免状取得条件です。
そのため、受験資格のない第二種電気工事士よりも金額を高めに設定するのが一般的です。
ちなみに、二種と一種を両方取得した社員には一種の資格手当のみを支給する企業がほとんどのようです。
2級施工管理技士
相場:5,000円~30,000円/月
施工管理技士の資格保有者は、建設現場になくてはならない存在です。
施工管理系の資格手当は、技術職向けの手当よりもやや高めに設定されている傾向があります。
1級施工管理技士
相場:10,000円~50,000円/月
2級施工管理技士の上位資格である1級施工管理技士には、多くの企業が毎月10,000円を超える手当を支給しています。
上級資格を取得した社員にはしっかりと還元すると、雇用の安定につながります。
フォークリフト、高所作業車
相場:500円~3,000円/月
技能講習で取得できるフォークリフト、高所作業車等の資格は、相場が比較的安めです。
少ない金額であっても、毎月の収入に直結すると思うと資格を活かして働くモチベーションにつながります。
第三種電気主任技術者(電検三種)
相場:10,000円~50,000円/月
電気保安の仕事ができるため、施設管理者等の仕事で重宝される電気主任技術者。
合格率の低い資格であるため、資格手当の相場は高めです。
工事担任者
相場:
・第二級アナログ通信/第二級デジタル通信で3,000円~10,000円/月
・第一級アナログ通信/第一級デジタル通信で5,000円~30,000円/月
・総合通信で10,000円~50,000円/月
電気工事会社など、メインの工事に加えて通信工事も行う企業では、工事担任者の資格にも手当が出ることがあります。
通信工事の知識がどれだけ重要かで相場は大きく変わりますが、目安は上表の通りです。
資格手当を出すメリット
企業が、従業員に対して資格手当を出すメリットは以下の通りです。
・従業員の満足度を上げ、社員の定着につながる
・従業員の知識・技術の向上やモチベーションアップにつながる
・採用活動において、企業の魅力になる
以下でそれぞれの項目について解説します。
従業員の満足度を上げ、社員の定着につながる
資格手当の導入によって、従業員は収入が増えるため、会社への満足度が向上します。その結果、社員の離職防止や長期的な雇用につながります。
従業員の知識・技術の向上やモチベーションアップにつながる
業務に必要な資格を従業員が積極的に取得するようになると、会社全体の知識や技術力の向上につながります。建設系資格の中には、長時間の勉強が必要であったり、実務経験を必要とする資格もありますが、資格の取得が収入に直結することで、モチベーションもアップします。
採用活動において、企業の魅力になる
求職者は就職活動の際、多くの企業の求人票を比較します。その中で、給与や休日等の基本的な待遇にプラスして資格手当という福利厚生が整っていると、求職者からの印象がよくなり、魅力的な会社だと思ってもらうことができます。また、資格手当の対象となる資格をすでに持っている人材からの応募増加も狙うことができ、自社に適した人材を獲得しやすくなります。
人材獲得が困難な建設業界だからこそ、福利厚生で差をつけることが大切です。
資格手当に関するよくある質問
資格手当に関するよくある疑問に回答していきます。
資格手当を出していない会社は違法?
資格手当は法律で支給が義務付けられたものではないので、資格手当を出していない企業は違法ではありません。
あくまでも、企業が自主的に行う福利厚生の一環です。
資格手当は入社前に持っていた資格にも適用される?
資格手当には法的な規定がないため、入社前に取得済みの資格に手当を支給するかどうかは企業個別の判断となります。
一般的には、入社前に取った資格であっても、資格手当の対象となることが多いです。
資格手当に税金はかかる?
毎月支給される資格手当は、給与と同様に所得税・住民税が課税されます。
なお、資格取得時に1度だけもらえる報奨金(お祝い金)の場合も、所得税が課税されます。
まとめ
資格手当について、建設業界の主要資格の相場をご紹介しました。
資格手当は、業務に必要な資格を積極的に取得するモチベーションにつながる制度です。
相場観を覚えておき、自社での資格手当の設定や転職活動の際の基準としてお役立てください。
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