ゼネコン55社業績動向~オリンピック案件竣工で右肩上がりもひと段落~

建設ニュース

2020年、上場ゼネコンの業績は

東京商工リサーチは今月26日、「2020年3月期決算『上場ゼネコン55社業績動向』調査」を公開しました。

この調査では、ゼネコン55社の売り上げ動向、利益率、受注高などの推移が公開されています。

2020年は本来であれば東京オリンピック開幕予定であったこともあり、建設業のオリンピック特需も落ち着いた傾向が見られます。

本記事では上記調査の結果とともに、建設業の動向について振り返っていきます。

売上高はリーマンショック後最大も利益率減

出典:東京商工リサーチ

◆ 売上高

上場ゼネコン55社の2020年3月期の売上高合計は12兆9,868億円

2019年の12兆6,901億円より2.3%(2,967億円)増加し、3期連続の増収となりました。

この売上高は2009年のリーマンショック後最大の数値となっています。

しかしながら、純粋に喜ぶことのできない傾向もみられます。次の項目で解説します。

◆ 利益率

上場ゼネコン55社の利益は、売上総利益(以下、粗利)が1兆6,368億円で、2019年と比較して0.1%減という結果となりました。

営業利益は9,553億円(前年比3.5%減)、経常利益は1兆246億円(同1.9%減)、当期純利益が7,310億円(同0.4%減)。

つまり、前年2019年と比べ売り上げは上がっているのに利益は減っているという傾向が見られます。

各利益のなかで最も減少率が大きかったのは営業利益(前期比3.5%減、355億円減)で、東京商工リサーチによるとこの原因は資材高騰や外注費に加え、人件費などの販管費の負担がコストアップに繋がり、減益につながったと分析されています。

利益率は2期連続で下降中。とはいえリーマン・ショック以降と比べると回復傾向が目に見えてわかり、依然として高い利益率を維持しているのですが、2017年以降の傾向として、資材高騰や人手不足に伴う労務費の上昇が続いており、利益率を上げることが難しくなっていることも事実です。

受注高は前年比大幅減少 来期も減収か

2020年3月期の受注高は12兆1,863億円。

前期比では1割減(10.8%減)と大幅に減少しました。

受注高が減少したのは、2016年3月期以来、4期ぶりです。

このような背景を踏まえて、2021年3月期は減収に転じる可能性が高いと分析されてきます。

東京オリンピックに合わせた工事案件も竣工し、これまで右肩上がりだった建設業の売り上げも停滞していくものと見られます。

トップは清水建設 西松建設は利益大幅増

上場ゼネコン55社で、売上高がトップだったのは清水建設

売上高は1兆4,176億円です。

そのあとを大林組、大成建設、鹿島建設が続きました。

上位10社では長谷工コーポレーション、前田建設工業を除く8社が増収を達成しました。

上位10社のうち、増収率トップは西松建設(11.9%増)で、土木・建築部門ともに大型工事が順調に進捗したことが起因しています。

参考資料

東京商工リサーチ: 2020年3月期決算「上場ゼネコン55社 業績動向」調査

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