建設業の有効求人倍率
採用の難易度を知るための指標に「有効求人倍率」というデータがあります。このデータは厚生労働省から毎月発表されているもので、業界ごとや職種ごとに採用難易度を知ることができます。
直近では、2ヶ月前である2023年10月分のデータが公表されました。建設業界の有効求人倍率から読みとく業界の採用難易度を解説していきます。
有効求人倍率とは
・有効求人倍率とは…ハローワークで仕事を探している人の数に対して、ハローワークに掲載している求人の数がどれだけあるかから算出した指標のこと。
採用の難しさの指標となるデータが「有効求人倍率」です。
例えば、ハローワークに100人仕事を探している人がいたとします。これに対して、ハローワークに求人を載せている企業が100社なら、求人倍率は1.0倍。企業の需要と、働き手のバランスが取れた状態と言えます。
ハローワークに100人仕事を探している人がいたときに、ハローワークに求人を載せている企業が200社あると、求人倍率は2.0倍となります。この場合は人材を採用できない企業が多く出るため、企業の需要と、働き手のバランスが取れていない状態となります。
仕事を探している人の割合が増えれば就職難、働き手を探す企業が増えれば、採用難が起こり、有効求人倍率からその時代の採用/就職の難易度を測ることができるのです。
建設業の業種ごとに見る有効求人倍率(2022年11月~2023年10月分)
発表されたデータを抜粋してまとめました。比較のため、最新である2023年10月のデータに加えて2022年11月~2023年9月分のデータも集計しています。
最新である2023年10月の有効求人倍率(除パート)は、建設躯体工事の職業で9.71倍、土木の職業で7.11倍、建設の職業(建設躯体工事従事者を除く建設従事者)で5.73倍、電気工事の職業で3.61倍です。参考に、建設業以外の業種も含む国内全業種の有効求人倍率(職業計)は1.24倍となっています。
データ詳細~過去最高倍率の土木、最低倍率の建設躯体~
まず、建設業界の職業は国内全業種の有効求人倍率(以下、職業計)に比べて倍率が全体的に高く、採用難易度の高い業界であるという傾向は何年も変わっていません。
最新データでは、職業計1.24倍に対して、建設躯体工事の職業は9.71倍。つまり、日本の全産業では職を探している方1人に対して求人が1.24社存在していますが、建設躯体工事の職業では、職を探している方1人に対して求人が9.71社も存在し、9~10社に1社しか採用ができないということになります。
前提として採用のハードルが高い建設業界ですが、建設躯体の職業は過去1年間では最も求人倍率が低くなっています。それでも9.71倍と、他の職業に比べると非常に高い採用難易度ではありますが、人材確保を計画している企業は積極的に求人を打ち出すなど、このタイミングで行動した方がいいでしょう。
一方で、土木の職業では有効求人倍率5.73倍と、過去1年間でもっとも求人倍率が高くなっています。このタイミングで人材を確保したいのであれば、ハローワークはもちろん、複数の採用手段を確保し、少しでも採用確率を上げるための策を講じる必要があります。
参考資料
厚生労働省:一般職業紹介状況
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