建設業の女性管理職割合は6.2%|女性登用の推移を検証!

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建設業の女性管理職、今どれくらい?

近年、建設業界でも「女性の活躍」に関する話題があがるようになりました。

また、日本では女性の管理職比率が低いことも問題視されています。

建設業界で活躍する女性管理職者は現在どの程度いて、これまでにどのような推移をたどっているのでしょうか?データから知っていきましょう。

建設業の女性管理職割合は2023年で6.2%

業界女性管理職の割合
小売18.6%
不動産16.2%
サービス13.5%
農・林・水産11.8%
金融11.1%
卸売8.9%
製造7.4%
運輸・倉庫6.9%
建設6.2%
全業種平均9.8%
データ出典:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2023 年)

帝国データバンクの調査によると、2023年の建設業界の女性管理職割合は6.2%です。日本国内の女性管理職割合の平均は9.8%であるので、建設業の女性管理職割合は平均よりも低いということになります。

元々男性比率が高い業界であることが、女性管理職の割合が低いことにも影響しています。

建設業界の女性管理職割合は、7年で1.4%増加

2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
建設業4.8%4.7%5.0%5.4%6.1%6.4%6.2%
参考:全業種平均6.9%7.2%7.7%7.8%8.9%9.4%9.8%
データ出典:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2017年~2023年)

2017年から2023年までの7年分、建設業の女性管理職割合の推移を抽出しました。建設業界では7年前と比べて女性管理職の割合は1.4%増加しています。対して、日本国内の全業種の平均では、女性管理職の割合は7年で2.9%増加しています

建設業界でも女性管理職割合の増加傾向は観測できるものの、日本国内の増加の動きと比較すると鈍く、女性の進出は遅れ気味の業界ということになります。

日本政府の目標は「2030年までに女性管理職を30%」

日本政府は、上場企業の女性管理職の比率を2030年までに30%にすることを目標として掲げています。この目標は、かつては「2020年までに30%」でしたが、達成には及ばず、先送りとなっています。

建設業界における女性活躍の取り組み

アンケートでは、女性活躍のための取り組みを行う企業の声も掲載されています。建設業界の声や、近しい業界の声を抜粋してご紹介します。

・建設業だが、女性でも扱える機器を導入しデジタル化を進め女性採用を強化している(電気配線工事、京都府)

・いまだに男性社会のイメージが強い建設業ではあるが、女性作業員用の更衣室やお手洗いなどの改善が進み、以前よりは働きやすくなってきている(内装工事、大阪府)

・まだまだ少数だが、女性技術職の採用で労働環境が改善された。設備面なども女性に配慮していきたい(木造建築工事、長野県)

・結婚および出産での退職があり、約 7 年前に介護休暇・育児休暇規定を充実させ、働ける環境を改善した結果、結婚や出産による退職が無くなった」(園芸サービス、滋賀県)

引用:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2017年~2023年抜粋)

建設業界で女性の雇用、昇進を推進するためには「労働環境の整備」と「筋力差など、男性とのギャップの緩和」の2つがカギとなります。現場には、女性用トイレや着替えスペースの確保を行うことによって女性の登用が可能になります。また、介護休暇・育児休暇規定等を見直し、ライフプランに柔軟に対応できるよう社内規定を整備することも、女性の雇用促進につながります。

現場仕事においては、男性と女性の筋力差を埋めるための工夫が必要となることがあります。肉体的な負担を軽減する作業機械の導入は、女性はもちろん男性の長期雇用にもつながります。

建設業界で女性管理職が増えない理由

建設業界で女性の管理職が増えない理由としては、以下のような回答が挙がっています。

・子育てしながら働ける環境が必要と思うが、中小企業は資金面で難しい(機械設計、静岡県)

・能力があれば性別を問わず登用したいが、女性は出世に慎重で管理職になりたがらない。会社全体で意識を変えていかなければならない(化学工業製品製造、静岡県)

・女性の技術者自体の少なさや求人への応募の無さから、登用したくてもできない(土木建築、山形県)

引用:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2017年~2023年抜粋)

「課題はわかっていても資金的に女性が活躍できる土台を整えることができない」というのは多くの中小企業の本音でしょう。人材育成にかけられる資金が限られている中で採用活動を行うとなると、従来通り男性社員を補充する方が合理的であるという問題があります。

また、女性登用が進まない原因は、女性側の意識にもあります。「技術職は女性には難しい」「職人は女性の仕事ではない」「管理職になったら、子育てとの両立ができない」など、長年「そうであったこと」の認識を改めるには、女性側に根付いた意識の改革も必要です。

建設業界に女性は必要?

女性と男性では身体の造りに差があるため、重いものを持てないなど一部の現場作業では男性に比べできることが制限されることがあります。

しかし、建設業界は人手が不足し、また高齢化が深刻であるため、これからも会社のパワーを維持していきたいのであれば、これまで戦力として加えてこなかった人が活躍できるように、体制を変更していくことが必須と言える時期に来ています。

女性だけでなく、高齢者や外国人など、これまで現場にいなかった人達に目を向け、新しい仲間として迎えられるよう、少しずつでも会社を変革していくことが求められます。

参考資料

帝国データバンク:女性に対する企業の意識調査

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