コロナ禍でゾンビ企業が増加傾向
帝国データバンクは今月27日、「利払いの負担を事業利益で賄えない『ゾンビ企業』の現状分析」公開しました。
調査の結果によると、コロナ禍でゾンビ企業は上昇傾向。国内では16.5万社が該当することがわかりました。さらにゾンビ企業の最も多い業界は建設業という調査結果も発表されています。
国内の動向を知り、さらに建設業のゾンビ企業率の高さについても知っておきましょう。
ゾンビ企業とは
「ゾンビ企業」とは、実質的に倒産状態であるにも関わらず、なお営業を継続している企業のことを指します。
例としては、
・債務不履行の状態が続いている企業
・債務超過の状態にある企業
・銀行融資の返済条件を変更するリスケ企業
・過剰債務を抱える非効率企業
上記のような企業は、「ゾンビ企業」であるといえます。
定義は様々ですが、この調査では「3年以上に渡ってインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)*1未満、かつ設立10年以上」をゾンビ企業の定義としています。
*インタレスト・カバレッジ・レシオとは、借入金などの利子支払い能力を測るための指標。
(営業利益+受取利息+受取配当金)÷(支払利息+割引料)で計算することができます。
ゾンビ企業は国内16.5万社
最新データである2020年の国内ゾンビ企業の数は16.5万社。 国内企業の11.3%が該当しています。
ゾンビ企業数の推移と融資政策
ゾンビ企業は2008年のリーマンショック以降上昇し、2011年には 19.8%にまで上昇しました。この時期、倒産件数の増加に伴って施行された中小企業金融円滑化法により、金融機関は返済猶予や金利減免などの融資条件変更に応じるよう努めることとなりました。この法律で延命した企業が多かったため、ゾンビ企業が増加したと分析されています。
その後、2015年~2019年の5年間は9%~10%台を推移してきましたが、2020 年度は 11.3%と増加傾向がみられています。これは、コロナ関連の融資が一因になっていると考えられています。
ゾンビ企業最多は建設業34%
業界別で、ゾンビ企業が最も多いのは建設業。全体の34.3%を占めています。
建設業の内訳では、鉄骨・鉄筋工事などの「職別工事」が 13.9%、一般土木建築工事などの「総合工事」が 12.6%、電気工事や管工事などの「設備工事」が 7.8%です。
従業員数別では、少人数の企業が圧倒的に多く、ゾンビ企業のうちおよそ7割が20人以下の企業となっています。
多くのゾンビ企業が新型コロナ関連の融資を利用
「ゾンビ企業」は新型コロナ関連の融資を多く利用していることも調査で分かっています。融資によって事業を存続し、立て直しのチャンスが得られる一方で、返済の不安を抱える企業も融資を受けている企業のうち15%存在していることも明らかになっています。
ゾンビ企業は今後も増加する可能性
新型コロナの営業は2022年現在も続いており、さらに円安による原油高の高騰や材料費の高騰、海外情勢が与える影響が重なって、金融支援に頼らざるを得ない企業は今後も増加していくことが考えられます。上記のような状況下では、ゾンビ企業を脱却するハードルも上がるため、現状金融支援を受けている企業が今後も延命され続ける状況も続くものと見られています。
参考資料
東京商工リサーチ:利払いの負担を事業利益で賄えない「ゾンビ企業」の現状分析
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