「『見える』安全活動コンクール」から学ぶ現場の安全対策

建設ニュース

厚労省選定の安全対策コンクール

厚生労働省は、令和3年度の「『見える』安全活動コンクール」の優良事例を公開しました。このコンクールは今年度で11回目。建設業・製造業などが職場における安全対策の取り組み事例を投稿するもので、優良事例として80の事例が公開されています。

注目の安全対策

80の優良事例から、編集部がピックアップした事例をいくつかご紹介します。現場で生かせそうな安全対策があれば、取り入れてみるのはいかがでしょうか。

転倒災害防止の小さな工夫

優秀事例のひとつ、東芝インフラシステムズ株式会社の「据付方法の改善による躓き防止」では、オーバーブリッジの据付ボルトを内側で行うことで、ボルトやナットによる躓きを防止。転倒防止策として応用範囲の広い事例です。

休憩所での転倒防止策

株式会社安部日鋼工業の作業所における事例。勾配のある地面に休憩所を設置せざるをえなかったことから、休憩所・トイレ入り口部分の段差が解消される通路を整備するほか、滑り止めのゴムマットを設置し、転倒災害対策を行っています。

高年齢労働者の労働災害防止

株式会社竹中工務店の高齢者労働災害防止策は、会議室に誰でも自由に使える血圧計を設置するというもの。年齢者は高血圧傾向にあり、めまい等の諸症状が転倒・転落等の労働災害につながるリスクがあることから血圧管理により高血圧を予防する取り組みです。高血圧予防喚起の掲示物もあわせて、血圧リスクの見える化を行っています。

会話も弾む?高齢者に優しいユニークな階段

五洋建設株式会社九州支店の取り組みは、「階段どこまで登れたか自慢話の見える化」。高速道高架のため約14mの高さがある階段の各踊り場に【段数と博多の旨いもの】を標示するという非常にユニークな取り組みです。高齢者に配慮して枠組み3スパン使用し左右に踊り場を設け、階段は2列使い1000mm幅のすれ違いやすく昇降しやすい設備としています。

元請けからの注意事項指示では「今日は昼ごろから気温と温度が上がります。昇降3段目『うどん』は軽いでしょうが、5段目の『明太子』あたりで一服して体調を確認してください」といった指示があったり、作業員の会話で「『うどん』から『明太子』まで行けたばい」といった自慢話が聞こえるなど楽しい会話も生まれる安全対策です。

マンネリ看板を一新して再啓発

鹿島建設株式会社の取り組みは現場掲示物デザインの一新。毎日視界に入るがゆえに書かれた内容を見落としてしまうことがある看板を、目に入りやすいような独創的なデザインにすることによって内容の再「見える化」を目的とした取り組みです。少しユーモアのある看板はコミュニケーションのきっかけとなることも。現場でも比較的手軽に取り入れやすい事例ではないでしょうか。

多言語対応で外国人労働者の安全対策

鹿島建設株式会社の事例。外国人技能実習生向けに「労働安全衛生法」で規定された事項と「会社の独自ルール」をベトナム語で説明したムービーを制作して、YouTubeで公開しています。外国人労働者が増える昨今では、日本語以外の教育テキストの充実が安全対策の要となります。

飲酒運転防止

株式会社NIPPO豊田出張所の取り組み。事務所入り口にアルコールチェッカーを設置し、車を運転する際はアルコールチェックしてから運転するよう努めています。チェック内容は印字され記録保管され、飲酒運転事故の防止に効果的です。

バイタルチェッカーによる熱中症予防

鹿島建設の取り組み。熱中症予防にデジタルツール「バイタルチェッカー」で業員の体調把握を行います。GPSと接触式心拍センサー内蔵の時計を作業員全員が着用し、工事事務所大型画面で位置や心拍数を管理。作業員の位置と心拍数をリアルタイムに把握し、タイムリーに声掛け実施することができます。

安全対策の取り組みを知り、自社の災害防止に役立てよう

他社で導入されている様々な安全対策を応用することで、自社の事故防止に役立てることができます。本日ご紹介した事例の中で自社に応用できそうなものがあれば、ぜひ導入をご検討ください。

また、厚生労働省のHPでは本記事でご紹介した以外にも優秀な安全対策が多数紹介されています。こちらもぜひご参考ください。

事故防止は小さな工夫から。今日もご安全に!

参考資料

厚生労働省:あんぜんプロジェクト

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