求人募集に関する法律をチェック!
人手が足りなくなり、求人を出そう!という際、一番最初に決めるのは求める人物像についてではないでしょうか。
「20代の見習いさんが欲しい」「空調工事と配管工事の経験がある人がいいなあ」などなど挙げればキリがない理想ですが、実は求人票の表記は法律で細かく規定があります。
「知らないうちに違法な求人を出していた!」ということにならないように、求人の年齢制限について基本の法律をここで押さえておきましょう。
よくあるNG例―こんな求人、実はすべて違法!
まず、よくあるNG例を記載します。これらはいずれも雇用や労働基準を定める法律的にNGとなってしまう表現です。
① ウチは若い社員ばっかりだから、年齢は35歳以下に限定ね!あと、今すぐにでも現場に入ってもらいたいから、少なくても電気工事の経験が1年はないとムリ!「35歳まで・経験1年以上」で募集をかけといて!
② 施工管理を募集したい。工事の規模的に1級施工管理技士は必須だね。年齢は、45歳くらいまでならいいかな。「要1級電気工事施工管理技士・45歳までの方」で求人を出そう。
③ 現場監督が欲しい!あんまり若いと職人さんにナメられちゃって現場を仕切れないでしょ。25歳以上の人なら誰でもいいよ!「25歳以上の元気な方」で募集をかけよう!
では、これら3つの求人のなにがNGなのか?次の項目で解説していきます。
年齢と、実務経験の両方を求めることはできない
① ウチは若い社員ばっかりだから、年齢は35歳以下に限定ね!あと、今すぐにでも現場に入ってもらいたいから、少なくても電気工事の経験が1年はないとムリ!「35歳まで・経験1年以上」で募集をかけといて!
まずはこちらの求人。こちらの求人のNGポイントは、年齢を35歳以下に限定しつつ、 1年以上の実務経験も必須としていることです。
基本かつもっとも重要なこととして覚えて頂きたいのは、
「年齢制限をしたら実務経験を求めることはできない。実務経験が必須なら年齢制限をかけることはできない」
というルールです。
日本では雇用の機会を均等にするため、基本的には求人に年齢制限をかけないよう義務づけられています。しかし、じっくりとキャリアを築くためには若手が必要だという企業も多いため、年齢の上限を設けることは可能とされています。若手のキャリア形成のために年齢制限を設ける場合は、同時に実務経験まで求めることはできません。
また、年齢制限を設ける場合は「※長期勤続によるキャリア形成のため 」と制限を設ける理由を記載しましょう。
×これはNG!:35歳まで・経験1年以上 ※ 長期勤続によるキャリア形成のため
○これならOK!:35歳まで・経験不問または年齢不問・経験1年以上 ※ 長期勤続によるキャリア形成のため
できれば覚えたい例外ルール
上で紹介した基本ルールには「例外」となる事項がいくつか存在します。よく使われる例外ルールを2つ紹介します。余裕があれば、このルールも覚えておくとよいでしょう。
例外ルール1:定年年齢を上限とすることは、年齢制限にはあたらない
上で紹介した「年齢制限をしたら実務経験を求めることはできない。実務経験が必須なら年齢制限をかけることはできない」という基本ルールですが、定年年齢が理由の場合は、例外的に実務経験とあわせて年齢の上限を設定することができます。例えば、60歳で定年となる会社であれば「60歳まで・実務経験1年以上」というように年齢の上限と実務経験の両方を求めることが可能です。この場合は、応募条件の横に「※ 定年年齢を上限とする」という理由をあわせて記載しましょう。
△例外OK!:60歳まで・経験1年以上 ※ 定年年齢を上限とする
例外ルール2:夜勤など法律で就労可能年齢が決まっている場合は、年齢制限にはあたらない
法律でその仕事ができる年齢が決まっている場合は、例外的に実務経験と合わせて制限をかけることができます。例えば22時以降の夜間作業は18歳以上の人のみが就労可能と労働基準法で定められています。この場合は「18歳以上・実務経験1年以上」という年齢の下限と実務経験の両方を求めることが可能です。この場合は、応募条件の横に「※ 労働基準法による年齢制限」という理由を合わせて記載しましょう。
△例外OK!:18歳以上・経験1年以上 ※ 労働基準法による年齢制限
年齢と、実務経験必須の資格を両方求めることはできない
② 施工管理を募集したい。工事の規模的に1級施工管理技士は必須だね。年齢は、45歳くらいまでならいいかな。「要1級電気工事施工管理技士・45歳までの方」で求人を出そう。
次は、こちらの求人です。こちらの求人のNGポイントは、年齢を45歳以下に限定しつつ、取得の際に実務経験が必要な資格も必須としていることです。
1級電気工事施工管理技士の資格は、現場での実務経験がないと取得することができません。 つまり、1級電気工事施工管理技士の資格を必須とした場合、実質的に実務経験を求めているのと同じということになります。そのため年齢制限をかけると、最初に紹介した基本ルールである 「年齢制限をしたら実務経験を求めることはできない。実務経験が必須なら年齢制限をかけることはできない」に触れてしまうのでNGとなります。
現場でよく使われる資格でも、例えば「第2種電気工事士」のように実務経験なしで誰でも取得ができる資格であれば、年齢制限を設けることが可能です。
×これはNG!:45歳まで・ 要1級電気工事施工管理技士 ※ 長期勤続によるキャリア形成のため
○これならOK!:45歳まで・要第2種電気工事士 ※ 長期勤続によるキャリア形成のため
特別な理由なく年齢の下限を設けることはできない
③ 現場監督が欲しい!あんまり若いと職人さんにナメられちゃって現場を仕切れないでしょ。25歳以上の人なら誰でもいいよ!「25歳以上の元気な方」で募集をかけよう!
最後は、こちらの求人です。
こちらの求人のNGポイントは、年齢の下限を設けていることです。
別の項目でも触れましたが、日本では雇用の機会を均等にするため、基本的には求人に年齢制限をかけることは推奨されていません。しかし、じっくりと労働者のキャリアを築くために若い方が必要だという企業も多いため、年齢の上限を設けることは可能とされています。ですが、年齢の下限については特別な理由がない限り設定することはできません。
×これはNG!:25歳以上・経験不問 (元気な人歓迎!) ※ 長期勤続によるキャリア形成のため
○これならOK!:年齢・経験不問 (元気な人歓迎!)
△例外OK!:18歳以上・経験不問 (元気な人歓迎!) ※ 労働基準法による年齢制限
※ 夜勤があり法律的に年齢制限をしなければならないなど特別な理由がある場合に限り下限設定が可能(詳細は「できれば覚えたい例外ルール」の項目を参照」)。
そうは言っても、欲しい人は決まっている…という時
ここまで、年齢制限の法的なルールをご紹介してきました。
しかしながら、「そうは言っても実務経験がないと教える人もいないし、ウチの仕事は若くないと務まんないよ!」というお悩みもあると思います。そういった場合、理想的な人に応募してもらうために求人の内容を工夫することで理想の人材の採用に繋げることができます。
理想の人に合わせた求人作成を
年齢と実務経験の両方に制限を設けることはできません。しかし、理想の人材が応募したくなるように求人を工夫することは可能です。
例えば「理想は35歳くらいまでの、電気工事の実務経験がある人が欲しい」という場合、まずは年齢と経験のどちらを優先するかを決めます。そして実務経験があることの方が大事だとした場合、求人上は法律に則って「年齢不問・電気工事の実務経験必須」とします。
あとは、年齢は不問とするもののなるべく若い方に興味を持ってもらうために工夫をしていきます。例えば求人内の会社PRに「20代・30代の若い世代も多数活躍しています」と同年代の方が活躍している情報を記載したり、「年齢に関係なく実力で給料を決定します」と打ち出すことで、若い方に魅力的に感じてもらう求人アレンジが可能です。有料の求人媒体を利用する場合は、求人の製作会社がノウハウを持っているので相談してみるといいでしょう。自社で求人を作成する場合は、どうしたら理想の人材に振り向いてもらえるのかということを考えながら文章を考えてみて下さい。
求人の文章作成に迷ったらプロが作成する電気設備業界専門の求人サイトもご検討ください。
まとめ
今回は求人の年齢制限について基本的な法律をご紹介しました。法律を守りつつ、理想の人材が来るよう工夫を凝らした求人づくりを心掛けましょう!
この記事が、採用をお考えの方にとってすこしでもお役に立てば幸いです。
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