建設業の女性比率は18.2%。技術職に限定すると2.7%です。
また、建設業の女性管理職比率は7.2%です。
この記事では、
などについて解説していきます。
データで見る建設業の女性活躍度
2024年現在、建設業でどの程度女性が活躍しているのかをまとめました。
建設業の女性比率の推移
建設業界の女性比率を、7年分まとめました。
建設業の女性比率 | 建設業の女性比率(技能者) | |
2017年 | 15.3% | 1.8% |
2018年 | 16.3% | 2.0% |
2019年 | 16.8% | 2.2% |
2020年 | 16.7% | 2.4% |
2021年 | 17.0% | 2.3% |
2022年 | 17.7% | 2.5% |
2023年 | 18.2% | 2.7% |
最新である2023年の調査では、建設業の女性比率は18.2%です。また、技能者に限定した場合、建設業の女性比率は2.7%です。
現状では、建設業で働く女性は少数派であるといえます。
しかし、2017年と比較すると業界全体では約3%、技能者に限定した場合は約1%女性比率が増加しています。
建設業の女性管理職比率
建設業における女性管理職の比率を2年分まとめました。参考に、他業界の割合も掲載しています。
業界 | 女性管理職比率(2023年) | 女性管理職比率(2024年) |
小売 | 18.6% | 19.4% |
不動産 | 16.2% | 16.7% |
サービス | 13.5% | 15.3% |
農・林・水産 | 11.8% | 12.7% |
金融 | 11.1% | 11.6% |
卸売 | 8.9% | 9.6% |
製造 | 7.4% | 7.9% |
運輸・倉庫 | 6.9% | 7.4% |
建設 | 6.2% | 7.2% |
全業種平均 | 9.8% | 10.9% |
2024年現在、建設業界の女性管理職比率は7.2%です。
日本国内の女性管理職割合の平均は10.9%なので、建設業の女性管理職比率は平均よりも低いということになります。
建設業の女性管理職比率が低いのは、元々男性中心の業界であったことが原因であると考えられます。しかし、2023年から2024年の間には女性管理職比率が1%上昇しており、改善の傾向がみられます。
建設業界に女性が少ない理由
建設業界に女性が少ないおもな理由は、以下の3つです。
・筋力が弱いなど、肉体的なハンディキャップがある
・トイレや更衣室など、女性が働くための環境が整っていない
・出産や子育てなど、ライフステージの変化に対応できる職場環境が整っていない
建設業は、肉体的にきつい仕事が多いことから、かつては筋力の強い男性でないと活躍が難しい業界でした。
現代では、技術の進歩や、人材を適材適所へ配置することによって、女性でも活躍が可能です。
しかし、男性が働くことが前提の業界であったことから、トイレや更衣室など女性に必要なスペースの整備が間に合っておらず、女性にとって不便な環境が残っています。
また、出産や子育てなどに関する会社の制度も整っていないことが多く、建設業に女性が増えない原因となっています。
建設業で女性が活躍するには
建設業界で活躍したい女性向けに、おすすめの資格や職種についてまとめました。
女性におすすめの職種3選
建設業界に興味がある女性におすすめの職種は以下の通りです。
・建築士
建築士は、建物の設計を行う仕事です。自分の思い描く建物をつくりたいという方に向いています。
建築士の仕事は、おもに現地の調査や作図、工事管理であることから、技術職と比べると肉体的な負担は少なめです。
なお、建築士になるには大学や専門学校等で、指定科目の単位を取得する必要があります。
・電気工事士
電気工事士は、建物で電気が使えるように配線工事や設備工事を行う仕事です。
電気分野は、技術職の中では重いものを持つ作業が比較的少なめであることから、女性で技術者を目指したい方におすすめの職業です。
・施工管理技士
施工管理技士は、工事がスケジュール通りに進むように、工事の進捗管理を行う仕事です。
安全に、品質を保ちつつ、かつ予算内にプロジェクトが完成するよう監督する立場のため、簡単な仕事ではありませんが、自分の力で建物を作りたいという志を持った方であれば、男女問わず活躍できます。
女性におすすめの資格3選
建設業界に興味がある女性におすすめの資格は以下の通りです。
・第二種電気工事士
第二種電気工事士は、電気工事の作業を行うのに必要な資格です。
第二種電気工事士の資格には学歴や実務経験が必要ないため、思い立ったらいつでも資格取得にチャレンジすることができます。
電気工事士という職業も女性におすすめであるため、技術職に興味のある方はチャレンジして損のない資格といえます。
・消防設備士
消防設備士は、消火設備や警報設備、避難設備などの設置工事や点検に必要な資格です。
建物には設備点検の義務があるため、消防設備士の需要は高く、資格を持っていると就職・転職に困らなくなります。
消防設備士には甲種と乙種がありますが、乙種は学歴や実務経験問わず誰でもチャレンジすることができます。
・2級施工管理技士
施工管理として現場を監督するために必要な資格です。
なお、資格の取得には施工管理の実務経験が必要なため、先に建設業界で働いてから資格の取得を目指すのが一般的です。
建設業界で女性が働くメリット・デメリット
建設業界で女性が働くメリット・デメリットをまとめました。
建設業界で働くメリット
建設業界で女性が働くメリットは、以下の通りです。
・平均年収の高い業界なので、高収入を狙いやすい
・手に職がつき、安定したキャリアを築ける
・女性ならではのやりがいや、活躍の道がある
以下で各項目について解説します。
・平均年収の高い業界なので、高収入を狙いやすい
2023年の調査によると、建設業の平均年収は567万円です。全業種の平均は506万円のため、建設業界は、日本の平均と比較して60万円ほど年収の高い業界といえます。
そのため、手に職をつけ、高収入を狙いたい女性にとっては、建設業で働くことはメリットとなります。
・手に職がつき、安定したキャリアを築ける
建設業界は需要の高い仕事にもかかわらず、少子高齢化が進んでいます。
そのため、一度技術を身に着けてしまえば転職や就職で困ることなく、引く手あまたの人材になることができます。
・女性ならではのやりがいや、活躍の道がある
建設業界は現状男性の人口が多いですが、その分、女性だからこそ活躍できる現場があります。
例えば女性の一人暮らしの部屋に電気工事で入る場合、女性の技術者は非常に重宝されます。
女性の人口が少ないからこそ求められる場所があり、やりがいにもつながります。
建設業界で働くデメリット
建設業界で女性が働くデメリットは、以下の通りです。
・働く環境が整っていない会社が多い
・肉体的にきつい仕事がある
・前例のないことに立ち向かう必要がある
以下で各項目について解説します。
・働く環境が整っていない会社が多い
女性の建設業従事者は少数であるため、現場ではトイレや更衣室などのスペースが十分に整備されていないことがあります。
専用スペースがない場合、空いているスペースを利用するか、近くのコンビニなどを利用している女性も少なくないようです。
働き方については、面接時に確認しておくといいでしょう。
・肉体的にきつい仕事がある
特に技術職では、重いものを持ち運んだり、数キロの腰道具をつけて作業をしたりと、肉体的にきつい仕事があります。
現場で働いていくうちに筋力はついていきますが、女性は男性に比べて筋肉量が少ない傾向にあるため、苦労する方は多いです。
・前例のないことに立ち向かう必要がある
特に中小企業への就職では、産休や育休など、女性が働くうえで利用したい制度が整っていない会社があることを念頭に置く必要があります。
産休や育休などの制度利用の前例がない場合、自分が第一号となって女性の働き方を作っていかなければなりません。
最初から与えられるものと思わず、自分から会社に働きかけ、働きやすい職場を作っていく覚悟が必要となります。
◆ 建設現場の現状について詳しく知りたい方は、建設現場の女性用トイレ設置率は72%、更衣室は49%…日建連調査の記事もぜひご覧ください!
建設業界における女性活躍の取り組み
建設業界では、女性活躍のため様々な取り組みを行う企業があります。
建設業従事者や、近しい業界の声を抜粋してご紹介します。
・建設業だが、女性でも扱える機器を導入しデジタル化を進め女性採用を強化している(電気配線工事、京都府)
・いまだに男性社会のイメージが強い建設業ではあるが、女性作業員用の更衣室やお手洗いなどの改善が進み、以前よりは働きやすくなってきている(内装工事、大阪府)
・まだまだ少数だが、女性技術職の採用で労働環境が改善された。設備面なども女性に配慮していきたい(木造建築工事、長野県)
・結婚および出産での退職があり、約7年前に介護休暇・育児休暇規定を充実させ、働ける環境を改善した結果、結婚や出産による退職が無くなった(園芸サービス、滋賀県)
引用:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2017年~2023年抜粋)
建設業界は人手不足であることから、女性の入職促進のため様々な取り組みが始まっています。
建設業界で女性の雇用、昇進を推進するためには「労働環境の整備」と「筋力差など、男性とのギャップの緩和」の2つがカギとなります。
現場の女性用トイレや着替えスペースの確保をはじめ、ライフプランに柔軟に対応できるよう社内規定を整備するなどの取り組みを行う企業も多く、女性が働きやすい業界になっていくことが期待できます。
まとめ
建設業界の女性比率や、建設業界で女性が活躍するための方法をお伝えしました。
建設業界は、いまだ女性比率が低く、女性にとって不便な面があるというのは事実です。
ですが、状況は改善しており、建設業界で働く女性は増加傾向にあります。また、企業も女性が活躍できるよう環境の整備を進めています。
この記事が建設業界に興味のある女性にとってお役に立てば幸いです。
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