建設業界の週休2日は実施されている?
日本建設業連合会(以下、日建連)の調査によると、2022年、建設業界の作業所の4週8閉所率は45.2%。
建設業界では週休2日の導入が目指されていますが、作業所の閉所日数と作業員の休日数はどのような推移をたどっているのでしょうか。5年間の推移をまとめました。
建設業の過去5年分作業所閉所日数推移
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
4週5閉所未満 | 20.8% 2,762 | 17.7% 2,333 | 15.1% 1,936 | 14.0% 1,697 | 13.7% 1,676 |
4週5閉所 | 19.6% 2,600 | 13.8% 1,821 | 12.5% 1,604 | 12.1% 1,467 | 11.4% 1,393 |
4週6閉所 | 21.1% 2,799 | 21.0% 2,775 | 18.3% 2,349 | 17.0% 2,069 | 14.9% 1,813 |
4週7閉所 | 15.0% 1,993 | 17.5% 2,314 | 16.2% 2,075 | 16.2% 1,964 | 14.8% 1,808 |
4週8閉所 | 23.6% 3,142 | 30.0% 3,960 | 37.9% 4,863 | 40.8% 4,962 | 45.2% 5,515 |
上記は、直近5年間の建設業界の作業所の閉所状況をまとめた表です。
4週8閉所(4週間の内閉所が8日…平均して週に2日作業所が閉所している状態)を実施している作業所の割合は年々上昇しており、2022年度には45.2%となりました。
5年前の2018年度は4週8閉所の作業所は23.6%のみであったことから、4週8閉所を実施している作業所は5年間で20%以上上昇したことになります。
※ 請負金1億円以上または工期4カ月以上の事業所(現場)が調査対象。
※ 労働基準法第33条の適用を受ける事業所(災害等の臨時の事由によるもの)は除外。
※ JV工事はスポンサー工事を対象。
土木・建築別の閉所日数
【土木】
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
4週5閉所未満 | 14.9% 981 | 12.9% 810 | 10.9% 683 | 9.1% 539 | 7.3% 422 |
4週5閉所 | 18.4% 1,211 | 12.7% 796 | 10.5% 658 | 9.0% 538 | 6.8% 393 |
4週6閉所 | 21.4% 1,408 | 19.3% 1,210 | 17.2% 1,081 | 15.9% 943 | 13.2% 768 |
4週7閉所 | 17.0% 1,122 | 18.5% 1,165 | 17.4% 1,093 | 16.6% 990 | 15.5% 903 |
4週8閉所 | 28.2% 1,859 | 36.7% 2,304 | 44.1% 2,778 | 49.4% 2,938 | 57.2% 3,322 |
【建築】
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
4週5閉所未満 | 26.5% 1,781 | 22.0% 1,523 | 19.2% 1,253 | 18.6% 1,158 | 19.6% 1,254 |
4週5閉所 | 20.7% 1,389 | 14.8% 1,025 | 14.5% 946 | 15.0% 929 | 15.6% 1,000 |
4週6閉所 | 20.7% 1,391 | 22.6% 1,565 | 19.4% 1,268 | 18.1% 1,126 | 16.3% 1,045 |
4週7閉所 | 13.0% 871 | 16.6% 1,149 | 15.0% 982 | 15.7% 974 | 14.1% 905 |
4週8閉所 | 19.1% 1,283 | 23.9% 1,656 | 31.9% 2,085 | 32.6% 2,024 | 34.3% 2,193 |
閉所率の推移を、土木・建築の分野別に集計した表です。
2022年時点での4週8閉所率は、土木が57.2%なのに対し建築は34.3%と、実施率に開きがあることがわかります。
建設作業員の4週8休率は80%を確保、閉所少ない建築も高い数字
4週8閉所 | 4週8休 | |
全体 | 45.2% | 80.1% |
建築 | 34.3% | 75.8% |
土木 | 57.2% | 84.7% |
作業所自体が閉まっているかどうかを指標とする閉所日数に対し、建設作業員が休んでいるかを調査した4週8休の実施率についても調査結果が公表されています。
4週8休の実施率は、建築で75.8%、土木で84.7%。全体で80.1%という結果でした。
4週8休に関しては、全体で80%に達しており、4週8閉所を達成していない現場でも交代で休日取得をしている状況がうかがえます。閉所率が34.3%と低い建築分野でも、4週8休の割合は75.8%と高い数値となっています。
「建設業の週休2日」は進んでいるものの、現場によって開きも

作業員の4週8休が80%を超えているという結果から、「建設業の週休2日」化は進んでいると言うことができますが、現場により差があるという声も上がっています。
【時間外労働対策、働き方改革について】
• 公共工事においては、時間外労働の上限規制に対する発注者の理解が進んでいるが、民間の発注者は理解が進んでいないのが実態。適正工期の理解等、時間外労働の上限規制遵守に関する一層の働き掛けをお願いしたい。
• 残業軽減に向けて業務の分業化やデジタル化をさらに推進する必要がある。技能労働者数の減少も「働き方改革」に大きな影響を及ぼすので、それへの対策も急がれる。
• 技術者・技能者不足が顕在化しており、予定した工期から遅延する工事が発生し、ますます週休二日の取得が困難な状況となっている。
• 週休2日の実施率は上がっているが残業が多くなっており、2024年度からの時間外労働の上限規制適用に対して、現状の人数・現場管理費で順守していくことは非常に困難だと感じる。
出典:週休二日実現行動計画2022年度上半期 フォローアップ報告書
民間工事の適正な工期への理解不足や人手不足等で週休2日の確保が困難であるとの声が上がっていることや、休日を確保する分残業が多くなっているという意見があることなど、週休2日への障壁はまだ残っていることを確認し、業界全体の課題として引き続き取り組む必要があります。
参考資料
日本建設業連合会:週休二日実現行動計画 2022年度上半期 フォローアップ報告書
コメント