全従業員20代・27歳代表に聞く若手採用 建設業に憧れを抱かせるブランディング戦略

職人採用のコツ

建設業界で働く人のうち、20代はたった1割だという。職人はますます高齢化し、圧倒的な若手不足が起こる中、「全従業員が20代」だという会社と出会った。株式会社雅は、 神奈川県横浜市に本社を構え、空調設備・換気設備・電気設備工事を行う会社である。

代表を務める河合様自身も27歳という若さ。フレッシュな組織を築き上げることに成功した背景には、若手が惹かれる会社作りの戦略があった。

【プロフィール】河合 雅人様|株式会社 雅 代表取締役
17歳で夜間学校に通いながら建設業を営む親戚の会社へ入社。7年働いた後、個人事業主として独立。独立から2年後の2019年4月に雅を立ち上げる。3人の子を持つ父親でもあり、今年には4人目が誕生予定。

イメージを良くする事務所づくり

取材のため株式会社雅様に訪問し、まず目を引いたのが黒を基調とした事務所である。

雅様オフィス

自社で内装工事を行ったという黒い壁には、従業員が書いた言葉が並んでいる。

まるでIT企業のように洗練された事務所。特に若い世代にはウケのいいデザインだ。同社では、事務所の内装や作業着のデザインをオシャレにすることに力を入れている。この取り組みについて、河合代表にお話を伺った。

―オフィスにはどのようなこだわりがありますか?

自分たちで内装工事をして、壁を黒く塗りました。最近、壁にスピーカーを付けて音楽が流せるようにもしました。

ウチみたいな内装の工事会社って、そんなにないと思うんです。 この業界だと自宅兼事務所というところも多いですが、やはり事務所があるほうが初めて入ってきたときに安心すると思います。きちんとした事務所があって、さらにそこに男性だけでなく女性も働いていて…という環境を整えることは、求人力アップにつながると思うんです。初めて入ってきたときに、「いいな」と思ってもらえることは人材獲得のため重要です。

ただでさえ、建設業は3Kの印象が強く、若者から抱かれるイメージが良くない。だから、こういったところから印象を変えていかないといけないと思っています。

SNSで反響を呼んだ、作業着の戦略

同社は、作業着にも相当なこだわりを持っている。

河合様ツイッター

作業着は河合代表のTwitter(ツイッター) にて公開され、同じ建設業従事者の若者を中心に大きな反響を呼んだ。周囲から憧れられる「カッコいい作業着」を用意したことも代表の戦略だ。

―SNSで、作業着が話題になっていました。

建設業に入ったばかりのころから「なんで作業着ってダサいままなんだろう?」と疑問に思っていました。僕がこれから建設業に入る立場だったら、その会社の雰囲気をとても重要視します。給料が高くて普通の作業着の会社より、給料がちょっと安くても作業着がカッコよかったら、そっちの会社に入りたいと思います。実際、そういう若者は少なくないと思いますよ。そういった背景があって、作業着を作ることにしました。SNSで話題になったのも、建設業で働くみんなが何かしら作業着に不満を持っていたからだと思います。

―確かに、服装で会社イメージも左右されそうです。

作業着を変えるだけで人手不足の会社に若手が集まってくるかもしれない。簡単なことなのに誰もなかなかやろうとしないんです。これには、「どうせ作業着なんだから」という諦めがあると思っています。

ウチの会社も最初は普通の作業着で、従業員に「どんなのが着たい?」と尋ねてみても、あまり要望は出てきませんでした。建設業に長くいればいるほど「どうせ作業着なんだから」と、今までの常識に染まってしまうんですね。

でも、僕がデザインを考えて「こんなのはどう?」とデザイン案を見せてみたら、「マジですか?こんなのが作れるんですか!?」とすごく喜んでいました。常に着るものだから、カッコいいほうが嬉しいですよね。

―実際に作業着が届いてからの反応はいかがでしたか?

驚いたのは、従業員の着こなしが変わったことです。まず、全員が安全靴を履いてくるようになりました。それは、新しい作業着との組み合わせを考えると「安全靴をはいたほうがカッコいいから」という理由なんです。さらに、今まではみんな不揃いのジャンパーを羽織っていたのに、おそろいのジャンパーを着るようになって会社としてのまとまりが生まれました。現場に行くと、他の業者さんに「作業着いいですね」と声をかけていただくこともあります。

―同じ作業着を着こなす集団は遠目から見てもカッコよく映りそうです。

そうなんです!それってすごく大事なことで、カッコよく作業着を着こなした集団が歩いていたら、それを見かけた人は「どこの会社だろう?」「カッコいいな」って思ってくれますよね。これも自社の求人力を高め、人材を獲得するのにすごく効果的なことです。

また、雅では定期的に事務所近隣の美化活動を行っています。それもみんなで揃った作業着を着て実施すれば、街の人たちに自社を印象付けることができ、ブランド力が確立されていくと思っています。

今後は、作業着の背中に会社のロゴであるカラスを大きくつけようと思っているんです。会社のロゴを背中に背負ったら、もっと目を引く集団になると思います。

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入社した若手の育成方法

業界で若手の獲得と同じくらい課題になっているのは、若手の育成だ。同社には河合様と出会ってから10年、ずっと付いてきてくれるという工事部長をはじめ、熱心に仕事に打ち込む若手社員が揃っている。若手の育成のため実践しているのはどんなことだろうか。その方法についても伺った。

―従業員は全員20代と伺いました。

はい。全員20代です。今現在は従業員が5人で、今春にもう一人入って6名になります。

―働いているのは、どんな方々ですか。

工事部長を務めてもらっているKさんとは、もう10年来の仲です。出会いは通っていた夜間学校でした。僕はそのときすでに建設業で働いていたんですが、Kさんを「一緒にやらないか」って誘って同じ会社に入ってもらったんです。それから個人事業主として独立しても、法人化してこの会社を立ち上げてもずっとついてきてくれています。仕事面でも、何かあっても頼れる貴重な存在ですね。

それから、今春入社する人はまだ別の会社に在職中ですが、仕事が終わってからウチの会社に来るんです。「練習させてください!」って。こちらとしては入社前に経験を積んでもらえれば現場に出た時に教えることが減るので、ありがたいですよね。

―なぜ、そのように情熱的な方が集まってくるのでしょうか。

僕は仕事に対して「全力でやらなきゃ楽しめない」と思って取り組んでいます。そんな姿勢が、社員に伝染するのかもしれません。

また、 僕自身が環境を変えていくのを社員に見せることはとても大事だと思っています。 事務所を大きくして、車を増やして…と、会社をどんどん変えていく。人の下について、その人が何も変わっていかなければモチベーションも下がってしまいますからね。

―河合様の教育方針を教えてください。

怒るときはしっかり怒っています。「怒り方」って、今難しい問題ですよね。若い子はそれで辞めちゃうなんて話も聞きます。

でも危険があってからでは遅いので、現場ではすぐに危険を知らせるために本気で怒ることも必要だと思っています。

人材の育成って、子育てと似ていると思っています。自分の思いを本気で伝えることが、相手に一番伝わる方法だと信じて、「こうあるべき」ということは本気で伝えるようにしています。

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【企業情報】

会社名:株式会社 雅

住所:〒224-0042 横浜市都筑区大熊町1050-1

業務内容:各種エアコン設置/エアコン洗浄/修理・点検/換気設備工事/電気工事

HP: http://www.miyabi-ac.com/

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取材・文:電工魂 編集部(下條 真穂)

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