統計概要
厚生労働省は今月27日、2019年の労働災害発生状況を公開しました。
これは、月ごとや年ごとに労災による死亡者をまとめた統計です。
統計によると、2019年の建設業における死亡者は269人。前年比-42人とより大きく減少し、2年連続のマイナスとなりました。
また、建設業以外の業種を含めた全産業でも2年連続で労災による死亡者は減少しており、国内の全産業において労災で亡くなる人は減少していることが読み取れます。
死亡の原因一位は墜落・転落
次に、死亡事故の原因別のデータを見ていきます。
◆ 全業種
こちらは建設業以外の産業も含めた全業種の労災による死亡原因の統計です。
事故の原因別では、高所からの「墜落・転落」が最も多く216人が死亡しており、次に「交通事故(道路)」、機械等による「はさまれ・巻き込まれ」、重機などによる「激突され」が続きます。
◆ 建設業
こちらは建設業のみに絞って死亡事故の原因を調査したデータです。
【データのポイント】
・死亡者数は前年-40人(-12.9%)、平成29年比で-54人(-16.7%)と2年連続減少。
・死傷者数は前年-191人(-1.2%)減少。平成 29年比で54 人(0.4%)増加。
・事故の型別では、「墜落・転落」が最多。死亡者数のうち40.9%、死傷者数の34.1%を占めている。
転落・墜落事故の防止対策
建設業の労災事故における死亡者の4割が墜落・転落事故であるというデータを踏まえ、業界全体として、また高所作業に従事する職人一人ひとりの対策強化が求められます。
厚労省が掲げる対策としては、
・墜落・転落災害防止に係る労働安全衛生規則の遵守徹底
・足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱に基づく「より安全な措置」等の普及促進
・フルハーネス型墜落制止用器具の適切な使用の徹底
以上3点が挙げられています。
フルハーネスの移行/新規格の正しい着用を
フルハーネスについては、2019年2月に労働安全衛生法が改正され、すでに旧規格品の安全帯は製造が中止されており、2022年1月1日には旧規格の安全帯は着用・販売ともに全面禁止となります。
買い替えを進めていくとともに、新規格品を身に着ける際は正しい着用方法について社内で周知徹底を行い、転落事故を防止しましょう。
本日もご安全に
建設業・全産業の労災による死亡事故が減っているというデータは喜ばしいものですが、建設業はいつでも危険と隣り合わせの仕事であることに変わりはありません。
電気工事業界では転落事故のほかに感電事故という命に係わる事故もあります。ぜひ社内で労災防止のための勉強会等を行い、事故なくご安全にお過ごしください。
参考資料
◆ 厚生労働省: 平成 31 年/令和元年労働災害発生状況の分析等 ◆ 厚生労働省: 正しく使おうフルハーネス◆ 関連記事はこちら
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