2024年現在、高卒新卒者の求人倍率は3.98倍。人材1名を3.98社が取り合う厳しい状況です。
さらに、2023年の工業高校の求人倍率は20.6倍。建設業とも関わりの深い工業高校での採用は、非常に厳しくなっています。
この記事では、
・2024年の高卒新卒者の求人状況(求人数、求職者数、求人倍率)
・建設業の求人数の推移 についてご紹介します。
現在の状況を知り、採用活動の方針決めに生かしましょう。
2024年の高卒新卒者の求人状況
2024年現在の、高卒新卒者の求人数、求職者数、求人倍率についてまとめました。
高卒新卒を対象にした求人数
求人数 ()内は昨対比 | |
2024年3月 | 482,270(8.7%) |
2023年3月 | 443,803 |
2024年3月の高卒新卒者を対象とした求人数は、482,270件です。
昨年に比べ、求人件数は5万件ほど増加しています。
高卒新卒の求職者数
求職者数 ()内は昨対比 | うち男子 | うち女子 | |
2024年3月 | 121,123 (△4.7%) | 74,765 (△4.3%) | 46,358 (△5.5%) |
2023年3月 | 127,157 | 78,122 | 49,035 |
2024年3月の高卒新卒の求職者は、121,123人です。
昨年に比べ、高卒新卒者は6,000人ほど減少しています。
高卒新卒の求人倍率
求人倍率(倍) | |
2024年3月 | 3.98 |
2023年3月 | 3.49 |
2024年3月の高卒新卒の求人倍率は、3.98倍。昨年に比べ、求人倍率は0.5ポイントほど増加しています。
求人倍率3.98倍とはつまり、人材1名を3.98社が取り合う状況です。
昨年に比べ、求人数は増加しているものの、高卒新卒者の人数は減っているため、高卒新卒の採用は激化しています。
※ 求人倍率の定義や考え方については、次の項目で詳しく解説しています。
求人倍率とは?
・求人倍率とは:「ハローワークで仕事を探している人の数に対して、ハローワークに掲載している求人の数がどれだけあるか」から算出した指標のこと。
「求人倍率」とは、採用の難しさの指標となるデータです。
例えば、ハローワークに100人仕事を探している人がいたとします。これに対して、ハローワークに求人を載せている企業が100社なら、求人倍率は1.0倍。企業の需要と、働き手のバランスが取れた状態と言えます。
ハローワークに100人仕事を探している人がいたときに、ハローワークに求人を載せている企業が300社あると、求人倍率は3.0倍となります。この場合、人材を採用できない企業が多く出るため、企業の需要と、働き手のバランスが取れていない状態となります。
高卒新卒者の求人倍率推移
高卒新卒の求人倍率推移をグラフにまとめました。
高卒新卒の求人倍率は、年々増加傾向にあります。さらに、今後も上昇していくものと考えられます。
高卒新卒者の減少理由
日本の高卒新卒者は減少しています。理由は、少子化が進んでいることや、大学進学率の上昇が挙げられます。
求人の増加理由
高卒新卒者が減少する一方で、企業の求人数は増加しています。主な理由は、高齢化による現役労働力の減少です。
求人倍率が急上昇している理由
求人倍率は、求人数÷高卒新卒者数で算出することができます。
現在の日本は、少子化による若者の減少(未来の労働力の減少)と高齢化による現役労働力の減少という、求人倍率を増加させる深刻な要因が2つあるため、求人倍率が急上昇しています。
少子高齢化が改善しない限りは、採用倍率も上昇し続けます。若者の採用は、今後ますます難しくなっていくことが予測できます。
工業高校新卒の求人倍率
建設業とかかわりの深い、工業高校に限定した求人倍率のデータもまとめました。
工業高校新卒の求人倍率は、高校全体の求人倍率と比較してはるかに高く、最新データである2023年の求人倍率は20.6倍です。
工業高校生1人に対し求人を出している企業が20社いるという状況のため、特に工業高校生を対象とした採用活動は困難でしょう。
建設業の求人数推移
建設業の求人数推移をグラフにまとめました。
建設業の求人数は、年々増加傾向にあります。さらに、今後も上昇していくものと考えられます。
建設業の求人数は7年前の1.4倍に
2024年の建設業の求人数は86,832件。2018年と比較すると1.4倍にも増えています。
対して、高卒新卒者の人数は減少しています。つまり、建設業の採用難易度は非常に高くなっていると言えます。
今後も少子化により高卒新卒者の人数は減っていくため、安定的に人材を確保するには採用戦略を見直す必要があります。
これからの採用活動で気を付けるべきこと
求人数が増加し、高卒新卒者は減っていることから、企業にとって若手採用は非常に厳しい時代です。
このような中で人材を確保していくために、気を付けておきたい点は以下の3つです。
若手にこだわりすぎない
若者の絶対数が減っている以上、若手採用は今後も厳しい状況が続きます。労働力を確保するためには、10代・20代の若手にこだわらず、30代以上の採用にも目を向けることが大切です。
待遇を見直す
現在は、労働者が企業を選ぶ時代です。魅力的な人材を採用するには、魅力的な会社でなくてはなりません。労働環境を見直し、労働者が入りたいと思える会社作りを行いましょう。また、今いる人材が辞めないように工夫することも大切です。
複数の採用手段を確保する
本記事でご紹介した求人倍率は、ハローワークの求人数、求職者数を元に算出されています。
ハローワークのデータを基にした求人倍率が高いということは、ハローワークで若手人材を採用することは難しいということを意味します。有料の求人媒体への出稿や、自社独自の採用活動など、複数の採用手段を使い、若手にアプローチする機会を増やすことが大切です。
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